なぜアクセス解析が必要なのか
ホームページは、作って公開しただけでは成果につながりません。「何人が見ているのか」「どこから来ているのか」「どのページが読まれているのか」── こうしたデータを把握し、改善を重ねてこそ、ホームページは「成果を生む営業ツール」になります。
そのために使うのがGoogleアナリティクス(GA4)です。
用語メモ
GA4(Googleアナリティクス4)とは、Googleが無料で提供するアクセス解析ツールの最新版です。2023年7月に旧バージョン(ユニバーサルアナリティクス)から完全に移行されました。WEBサイトやアプリのユーザー行動を詳細に分析でき、世界中のWEBサイトで最も広く使われている解析ツールです。
「アクセス解析」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、中小企業のホームページ運営で必要な指標は、実はそれほど多くありません。本記事では、最低限チェックすべき5つの指標を中心に、具体的な画面の見方と改善方法をご紹介します。
ホームページ公開後のWEBマーケティング全体の流れについては「ホームページは作って終わりではない」の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
GA4の基本画面を理解する
GA4にログインすると、まず「ホーム」画面が表示されます。ここにはサイトの概要がまとめて表示されますが、詳しくデータを見るには左側のメニューから各レポートに移動します。
よく使うメニュー
- ホーム:サイトの概要。ユーザー数や最近の傾向が一目でわかる
- レポート:詳細なデータを確認する場所。以下のカテゴリに分かれている
- リアルタイム:今この瞬間のアクセス状況
- ユーザー属性:訪問者の年齢、性別、地域、デバイスなど
- 集客:どこからサイトに来たか(検索、SNS、広告など)
- エンゲージメント:サイト内でどのような行動をしたか
- 収益化:ECサイトの売上データ(ECサイトの場合)
- 探索:自分でカスタムレポートを作成する高度な機能
用語メモ
GA4の「レポート」と「探索」の違い:レポートは、GA4が自動で生成してくれる定型的なデータ画面です。日常的な確認にはこれで十分です。探索は、自分で表やグラフの項目を組み合わせてカスタムレポートを作る機能で、より深い分析が必要な場合に使います。まずは「レポート」の使い方を押さえましょう。
見るべき指標1:ユーザー数
どこで見るか
レポート → 集客 → 概要、またはホーム画面で確認できます。
この指標が教えてくれること
ユーザー数は、一定期間にサイトを訪れた「人」の数です。同じ人が3回訪問しても、ユーザー数は1としてカウントされます。
この数値は、サイトの「集客力」を測る最も基本的な指標です。「サイトにどれくらいの人が来ているか」を把握するために、まず確認すべき数値です。
改善のポイント
- ユーザー数が少ない → 集客施策(SEO、SNS、広告)を強化する
- ユーザー数は十分にあるのに問い合わせが少ない → サイト内の導線やコンテンツの問題
- 特定の時期にユーザー数が増減する → その要因を分析し、施策に活かす
ユーザー数の目安
中小企業のコーポレートサイトの場合、月間ユーザー数は数百〜数千人が一般的です。「少ないかも」と感じても悲観する必要はありません。大切なのは絶対数よりも「増えているか減っているか」のトレンドと、「訪問者のうち何人が問い合わせに至っているか」のコンバージョン率です。
見るべき指標2:流入経路(トラフィックソース)
どこで見るか
レポート → 集客 → トラフィック獲得 で確認できます。
この指標が教えてくれること
ユーザーがどこからサイトに来たかを教えてくれます。主な分類は以下のとおりです。
- Organic Search(自然検索):GoogleやYahoo!の検索結果からの流入
- Direct(直接):URLを直接入力、ブックマーク、QRコードからの流入
- Referral(参照):他のサイトに貼られたリンクからの流入
- Organic Social(自然なSNS):SNSからの流入(広告以外)
- Paid Search(有料検索):リスティング広告からの流入
- Paid Social(有料SNS):SNS広告からの流入
改善のポイント
- Organic Searchが少ない → SEO対策を強化する(SEO対策の詳細は「SEO対策の基本」の記事を参照)
- Directが多い → 既存顧客やリピーターが多い。新規顧客獲得の施策を検討する
- Socialが少ない → SNS運用を見直す、またはSNSでのサイトURL掲載を強化する
- 特定の経路に偏っている → リスク分散のため、複数の集客チャネルを育てる
見るべき指標3:エンゲージメント(ページの閲覧状況)
どこで見るか
レポート → エンゲージメント → ページとスクリーン で確認できます。
この指標が教えてくれること
ユーザーがサイト内でどのページをどれくらい見ているかを教えてくれます。具体的には以下のデータが確認できます。
- 表示回数:各ページが何回表示されたか
- ユーザー数:各ページを何人が見たか
- 平均エンゲージメント時間:そのページでユーザーがアクティブに滞在した時間
用語メモ
GA4の「エンゲージメント」とは、ユーザーがサイト上で意味のあるアクション(ページの閲覧、ボタンのクリック、スクロールなど)を行うことです。旧バージョンの「直帰率」や「ページ滞在時間」に代わる概念で、より正確にユーザーの行動を捉えることができます。
改善のポイント
- 表示回数の多いページを把握する → そのページのコンテンツを充実させ、CTAを配置する
- エンゲージメント時間が短いページ → コンテンツの質や読みやすさを改善する
- 見てほしいページの表示回数が少ない → 導線を見直し、そのページへのリンクを増やす
見るべき指標4:コンバージョン
どこで見るか
レポート → エンゲージメント → コンバージョン、または、管理 → イベント でコンバージョンイベントを設定した上で確認します。
この指標が教えてくれること
コンバージョンとは、サイト上でユーザーに取ってほしい「成果としてカウントする行動」のことです。GA4では自分で「何をコンバージョンとするか」を設定する必要があります。
中小企業のよくあるコンバージョン設定:
- 問い合わせフォームの送信完了
- 電話番号のタップ(スマートフォン)
- 資料ダウンロード
- メルマガ登録
コンバージョンの設定方法(基本)
- GA4の管理画面で「イベント」を開く
- 問い合わせ完了ページ(サンクスページ)の表示をイベントとして設定する
- そのイベントを「キーイベントとしてマーク」する
一般的には、問い合わせフォーム送信後に表示される「ありがとうございます」ページ(サンクスページ)の表示を計測することで、問い合わせ件数を把握します。
コンバージョンを設定していないGA4は「体重計に乗らないダイエット」
GA4を導入していてもコンバージョンを設定していない企業は少なくありません。しかし、コンバージョンの設定なしにWEBマーケティングの成果を測ることはできません。ダイエットに例えれば、運動や食事制限はしているのに体重計に乗っていないのと同じです。まだ設定されていない方は、最優先で設定しましょう。
コンバージョン率の計算と目安
コンバージョン率 = コンバージョン数 ÷ セッション数 × 100
BtoB企業のコーポレートサイトの場合、コンバージョン率の目安は1〜3%程度です。つまり、100人がサイトを訪れたら1〜3人が問い合わせをする、という水準です。
この数値が低い場合は、以下の観点で改善を検討します。
- CTAボタンの配置や文言は適切か
- 問い合わせフォームの項目数は多すぎないか
- サービス内容や料金の情報が十分に掲載されているか
- 実績や顧客の声で信頼感を醸成できているか
見るべき指標5:ユーザー属性
どこで見るか
レポート → ユーザー属性 → 概要、および レポート → テクノロジー → 概要 で確認できます。
この指標が教えてくれること
サイトを訪れているユーザーのプロフィール情報を教えてくれます。
- 地域:どの都道府県・市区町村のユーザーが多いか
- デバイス:パソコン、スマートフォン、タブレットの割合
- 年齢・性別:おおまかな年齢層と性別(一定のデータ量がないと表示されない場合あり)
改善のポイント
- ターゲットの地域からのアクセスが少ない → ローカルSEOの強化、地域名を含むコンテンツの追加
- スマートフォンユーザーが多いのにスマホ対応が不十分 → レスポンシブデザインの改善を最優先
- 想定外の年齢層からのアクセスが多い → ターゲティングの見直し、または新たなニーズの発見
月次レポートの作り方
データを見ることに慣れてきたら、月に一度「月次レポート」を作成する習慣をつけましょう。大がかりなものである必要はありません。
最低限のレポート項目(A4で1枚程度)
- ユーザー数(先月比 +○%/-○%)
- セッション数(先月比)
- 流入経路の内訳(検索○%、直接○%、SNS○%、広告○%)
- 人気ページ上位5件
- コンバージョン数(先月比)
- コンバージョン率
- 今月の気づきと来月のアクション
このレポートを毎月蓄積していくことで、「このサイトは右肩上がりなのか、横ばいなのか、下がり気味なのか」というトレンドが見えるようになります。
レポートのコツ:「数字 + 考察 + 次のアクション」のセットで書く
単に数字を並べるだけでなく、「なぜそうなったか」の考察と「次に何をするか」のアクションをセットで記録しましょう。たとえば「ユーザー数が前月比120%に増加 → 先月公開した記事がSEOで上位表示された影響 → 来月も同テーマの記事を追加する」のように書くことで、データが次の行動に直結します。
目標設定の方法 ── KGIとKPI
データを見る前に「何を達成したいのか」を明確にしておくことが大切です。そこで設定するのがKGIとKPIです。
用語メモ
KGIとKPI:KGI(Key Goal Indicator)は「最終目標の数値指標」です。たとえば「月間問い合わせ件数10件」がKGIにあたります。KPI(Key Performance Indicator)は「KGI達成のための中間目標」です。問い合わせ10件を達成するために「月間ユーザー数5,000人」「コンバージョン率2%」を設定する、というのがKPIです。
中小企業のKGI/KPI設定例
例:BtoB製造業のコーポレートサイト
- KGI:月間問い合わせ件数 10件
- KPI 1:月間ユーザー数 5,000人(現状3,000人 → 約1.7倍)
- KPI 2:コンバージョン率 0.2%(現状0.1% → 2倍)
- KPI 3:検索流入の割合 50%以上(現状30%)
KGI/KPIは、現状の数値をもとに、現実的だけど少しチャレンジングな水準に設定するのがコツです。いきなり10倍を目指すのではなく、1.5〜2倍を目標にして、達成したら次の目標を設定する ── このサイクルが着実な成長につながります。
よくあるGA4の疑問と回答
Q. GA4は自分で設定できますか?
基本的な導入(計測タグの設置)はWEB制作会社に依頼するのが確実です。設置後のデータ閲覧は、ブラウザからログインするだけなので、どなたでも行えます。
Q. データはいつから見られますか?
GA4のタグを設置した日以降のデータが蓄積されます。過去にさかのぼってデータを取得することはできないため、早めに設置しておくことをおすすめします。
Q. GA4は無料で使えますか?
はい、無料で使えます。Googleアカウント(Gmailアカウント)があれば、すぐに利用開始できます。有料版(GA360)もありますが、中小企業では無料版で十分です。
Q. GA4と旧アナリティクス(UA)は何が違いますか?
旧バージョン(ユニバーサルアナリティクス)は2023年7月にデータ計測が終了しています。GA4は「イベントベース」という新しい計測方式を採用しており、ユーザーの行動をより正確に把握できるようになっています。
Q. サイトのアクセスが少なすぎてデータが参考にならないのですが
月間数十ユーザーの段階では、統計的に意味のあるデータは得られにくいのが事実です。まずは集客(SEO・SNS)に注力してアクセスを増やすことを優先しましょう。ただし、「どのページが見られているか」「検索キーワードは何か」といった定性的な情報は少ないデータからでも読み取れます。
データ活用の第一歩 ── 情報設計との接続
GA4で得られるデータは、サイトの情報設計を見直す際にも非常に役立ちます。たとえば、「サービスページの次にユーザーがどのページに遷移しているか」を見ることで、ユーザーの情報ニーズの順番がわかり、サイト構造の改善に活かせます。
情報設計に基づいたサイト改善については「情報設計で成果を上げる」の記事で詳しく解説していますので、データ活用を一歩進めたい方はぜひご覧ください。
まとめ:GA4で見るべき5つの指標
- ユーザー数:サイトの集客力を測る基本指標
- 流入経路:どこからユーザーが来ているかを把握し、集客施策を最適化
- エンゲージメント:どのページが読まれているか、滞在時間は十分かを確認
- コンバージョン:最も重要な指標。問い合わせなどの成果を計測
- ユーザー属性:ターゲットに合ったユーザーが来ているかを検証
まずは月に1回、この5つの数値を確認するところから始めましょう。
私たちは、GA4の導入設定からデータの読み方のレクチャーまで、サイト運用のサポートも行っています。「データは取れているけど、どう読めばいいかわからない」という方も、motiveまでお気軽にご相談ください。一緒にデータを活用し、ホームページを「成果の出る」ものに育てていきましょう。