「ホームページは持っているけれど、営業には全然活かせていない」「WEBからお問い合わせが来ても、その後の対応がうまくいかない」――中小企業の経営者の方から、こうしたお悩みを聞く機会が増えています。ホームページと営業活動は、本来とても相性の良い組み合わせです。しかし、多くの企業では「ホームページはホームページ」「営業は営業」と、別々に動いてしまっているのが実情ではないでしょうか。ホームページを「24時間働く営業担当」として活用し、日々の営業活動と連携させることができれば、御社の営業力は大きく向上します。この記事では、WEBサイトと営業活動を連携させるための具体的な方法を、段階を追って解説します。
なぜWEBサイトと営業活動の連携が必要なのか
まずは、WEBサイトと営業活動を連携させることの重要性について、その背景から整理しましょう。
お客さまの購買行動が変わっている
BtoB(企業間取引)の世界でも、お客さまの購買行動は大きく変化しています。かつては「営業マンが訪問して情報を提供する」のが一般的でしたが、現在ではお客さまが自らインターネットで情報収集し、ある程度候補を絞った段階で問い合わせをするケースが増えています。一般的に、BtoBの購買プロセスの60〜70%が、営業担当者と接触する前にWEB上で完了しているともいわれています。
これは何を意味するかというと、御社のホームページが「情報収集段階のお客さま」に十分な情報を提供できていなければ、候補にすら入れてもらえない可能性があるということです。逆に、ホームページで適切な情報を提供できれば、営業担当者が訪問する前に「この会社に頼みたい」と思ってもらえる確率が高まります。
営業の効率化とホームページの役割
中小企業では、営業担当者の数が限られていることがほとんどです。少ない人数で効率よく成果を上げるためには、ホームページに「営業の一次対応」を任せることが効果的です。
たとえば、お客さまからよく聞かれる質問への回答をホームページに掲載しておけば、営業担当者が毎回同じ説明をする手間が省けます。サービスの内容や料金の目安、導入事例なども事前に見てもらえていれば、商談がスムーズに進みます。ホームページは、いわば「予習資料を配る営業アシスタント」のような役割を果たしてくれるのです。
「ホームページ→お問い合わせ→商談→受注」の流れを作る
WEBサイトと営業活動の連携とは、簡単にいえば「ホームページに来てくれた人を、お問い合わせにつなげ、そこから商談・受注へとスムーズに導く流れ(導線)を作ること」です。この流れが途切れていたり、各段階で不備があったりすると、せっかくの見込み客を逃してしまいます。
家にたとえるなら、玄関(ホームページ)からリビング(お問い合わせフォーム)への廊下が暗くて狭かったり、途中にドアが何枚もあったりしたら、お客さまはリビングまでたどり着いてくれません。「わかりやすく、迷わず、ストレスなく」たどり着ける導線を設計することが重要です。
ホームページは「会社の紹介パンフレット」ではなく「24時間働く営業チームの一員」として活用する意識が大切です。
営業に活かせるWEBサイトのコンテンツ設計
WEBサイトを営業の味方にするためには、営業活動に直接役立つコンテンツを充実させる必要があります。ここでは、特に効果の高いコンテンツをご紹介します。
事例紹介ページ:最強の営業ツール
営業活動において最も効果が高いのが「事例紹介」のページです。「御社と同じ業種のお客さまで、こんな成果が出ました」という情報は、見込み客にとって最も説得力のあるコンテンツです。
効果的な事例紹介ページには、以下の要素を含めましょう。
課題:お客さまが抱えていた問題は何だったのか
解決策:御社がどのように対応したのか
成果:その結果、どんな改善があったのか(できれば数値で)
お客さまの声:実際のお客さまのコメント(許可を得た上で)
事例が1つ2つでは説得力に欠けますので、最低でも5件以上、できれば10件以上の事例を掲載することを目標にしましょう。業種別・課題別に分類しておくと、訪問者が自分に近い事例を見つけやすくなります。
サービス紹介ページ:営業トークを補完する
サービス紹介ページは、営業担当者が口頭で説明する内容を、より詳しく・体系的に伝えるためのページです。商談前にお客さまにサービス紹介ページを見てもらうことで、基本的な説明の時間を省き、より深い話に集中できるようになります。
サービス紹介ページで押さえるべきポイントは、「サービスの内容と特徴」「こんな方・こんな企業におすすめ」「料金体系(概算でも可)」「導入・利用の流れ」「よくあるご質問」の5つです。とくに「料金体系」は、掲載をためらう企業も多いですが、概算でも示しておくことで「予算に合わないお客さまとの無駄な商談」を減らし、営業効率を高める効果があります。
FAQ(よくある質問)ページ:営業の負担を軽減する
お客さまから繰り返し聞かれる質問は、FAQ(よくある質問)ページにまとめておきましょう。「納期はどのくらいですか?」「対応エリアはどこまでですか?」「見積もりは無料ですか?」といった質問に対する回答をあらかじめ掲載しておくことで、営業担当者の負担を軽減できます。
FAQページの作り方のコツは、営業担当者に「お客さまからよく聞かれる質問」を10個以上挙げてもらうことです。実際の商談で繰り返されている質問こそ、WEBサイトに掲載すべき情報です。
用語メモ
FAQとは「Frequently Asked Questions」の略で、「よくある質問」という意味です。お客さまが疑問に思いやすい点を事前にまとめておくことで、問い合わせ前の不安を解消する効果があります。
お問い合わせ導線の設計:コンバージョンを増やす
いくら良いコンテンツがあっても、お問い合わせにつながらなければ営業成果には結びつきません。ここでは、お問い合わせ率(コンバージョン率)を高めるための導線設計について解説します。
お問い合わせのハードルを下げる工夫
「お問い合わせ」と聞くと、「何か買わされるのでは」「しつこい営業電話がかかってくるのでは」と警戒するお客さまは少なくありません。このハードルを下げるために、以下の工夫が効果的です。
お問い合わせの種類を分ける:「お見積もりの依頼」「ちょっとした質問」「資料のダウンロード」「無料相談の予約」など、お問い合わせの種類を分けて用意しましょう。「お見積もり」はまだ早いと感じるお客さまでも、「資料だけもらっておこう」と思ってもらえれば接点が生まれます。
フォームの入力項目を最小限にする:お問い合わせフォームの入力項目が多いと、途中で面倒になって離脱されてしまいます。最低限の情報(氏名・会社名・メールアドレス・お問い合わせ内容)だけにとどめ、詳細は後からヒアリングする方が、お問い合わせ率は高まります。
「何が起こるか」を明記する:「お問い合わせをいただいた後、2営業日以内にメールでご連絡いたします」のように、お問い合わせ後の流れを明記しておくと、お客さまの不安が軽減されます。
用語メモ
コンバージョンとは、WEBサイト上で訪問者が「目標とする行動」を完了することです。企業サイトの場合、お問い合わせフォームの送信や資料のダウンロードがコンバージョンに当たります。コンバージョン率とは、訪問者のうちコンバージョンに至った人の割合のことです。
全ページにCTAを設置する
CTA(行動喚起ボタン)は、お問い合わせページだけでなく、サイト内のすべてのページに設置しましょう。サービス紹介ページを読んだ後、事例ページを読んだ後、ブログ記事を読んだ後――訪問者がどのページにいても、「お問い合わせ」へのボタンが目に入るようにしておくことが大切です。
とくに効果が高いのが、コンテンツの文脈に合ったCTAです。たとえば、サービスAの紹介ページには「サービスAについて詳しく聞く」、事例ページには「同様の事例についてご相談する」のように、ページの内容に合った文言のCTAを設置すると、クリック率が向上します。
電話・チャット・SNSなど複数の窓口を用意する
お問い合わせの手段は、フォームだけに限定しない方が良いでしょう。「メールよりも電話で話したい」「LINEの方が気軽でいい」など、お客さまによって好む連絡手段は異なります。電話番号の表示(スマートフォンではタップで発信できるように)、LINE公式アカウントへのリンクなど、複数の窓口を用意しておくと、お問い合わせの機会を逃しにくくなります。
営業資料とWEBサイトの連携テクニック
WEBサイトのコンテンツは、営業担当者が商談で使う資料としても活用できます。ここでは、WEBサイトと営業資料を効果的に連携させるテクニックをご紹介します。
提案書にWEBサイトのURLを活用する
営業担当者が作成する提案書や見積書に、WEBサイトの関連ページのURLやQRコードを記載しましょう。たとえば、「詳しい事例はこちらをご覧ください」とURLを添えておけば、お客さまは紙の資料では伝えきれない情報をWEBサイトで確認できます。
紙の営業資料には情報量の限界がありますが、WEBサイトなら写真・動画・詳細な説明などを豊富に掲載できます。紙の資料で興味を引き、WEBサイトで詳しく理解してもらうという「紙とWEBの役割分担」が効果的です。
ホワイトペーパー・ダウンロード資料の活用
ホワイトペーパーとは、お客さまの課題解決に役立つ情報をまとめた資料のことです。「業界動向レポート」「導入ガイド」「チェックリスト」など、お客さまにとって価値のある情報をPDFにまとめ、WEBサイトからダウンロードできるようにしておくと、見込み客の情報(メールアドレスなど)を獲得する手段になります。
ダウンロード時にメールアドレスを入力してもらう仕組みにしておけば、その後のフォローメールを送ることができます。いきなり「お問い合わせ」はハードルが高くても、「無料の資料をもらう」であれば、お客さまも抵抗なくアクションしてくれることが多いのです。
用語メモ
ホワイトペーパーとは、もともとは政府の報告書(白書)を指す言葉ですが、マーケティングの分野では、企業が見込み客向けに提供する専門的な情報をまとめた資料のことを指します。PDFなどの形式で無料ダウンロードできるようにすることが一般的です。
商談後のフォローにもWEBサイトを活用する
商談後のフォローメールに、WEBサイトの関連ページへのリンクを含めることも効果的です。「先日の商談でお話しした事例は、こちらに詳しく掲載しております」「ご質問いただいた点について、こちらのページに詳しい説明がございます」のように、商談の内容を補完する情報をWEBサイトに誘導しましょう。
お客さまが社内で検討する際に、御社のWEBサイトを参考資料として共有してもらえれば、決裁者(最終判断をする方)にも御社の情報が届きやすくなります。
MA(マーケティングオートメーション)との連携
WEBサイトと営業活動の連携をさらに進めたい場合、MA(マーケティングオートメーション)の導入も選択肢に入ってきます。
MAとは何か?中小企業でも使えるのか?
MAとは「マーケティングオートメーション」の略で、マーケティング活動の一部を自動化するためのツール(ソフトウェア)のことです。具体的には、WEBサイトの訪問者の行動を追跡し、見込み度の高いお客さまを特定したり、適切なタイミングでメールを自動送信したりすることができます。
「MAは大企業が使うもの」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、最近では中小企業でも導入しやすい価格帯(月額数千円〜数万円程度)のMAツールが増えています。すべての機能を使いこなす必要はなく、「お問い合わせのあったお客さまに自動でフォローメールを送る」「WEBサイトでよく見られているページを把握する」といった基本的な使い方だけでも、営業効率は大きく向上します。
MAを活用した「見込み客育成」の流れ
MAの最も大きなメリットは、「今すぐ商談にはつながらない見込み客」を、時間をかけて育てていけることです。たとえば、資料をダウンロードしたお客さまに対して、1週間後に「関連する事例のご紹介」、2週間後に「よくあるご質問のまとめ」、1か月後に「無料相談のご案内」と、段階的にメールを送ることで、少しずつ御社への関心を高めてもらう仕組みを作ることができます。
営業担当者が一人ひとりに手動でフォローするのは、時間的にも労力的にも限界があります。MAを活用すれば、この「育成(ナーチャリング)」の部分を自動化し、営業担当者は「温まった見込み客」への商談に集中できるようになります。
まずは小さく始めるのがコツ
MAの導入は、最初から大がかりに始める必要はありません。まずは以下のようなステップで、小さく始めることをおすすめします。
ステップ1:お問い合わせフォームからの自動返信メールを充実させる(「ありがとうございます」だけでなく、関連する情報のリンクを含める)
ステップ2:WEBサイトのアクセス解析を活用して、よく見られているページを把握する
ステップ3:無料のMAツール(HubSpotの無料プランなど)を試してみる
ステップ4:効果が実感できたら、有料プランへのアップグレードや運用の拡大を検討する
MAは「導入すれば売れる魔法のツール」ではありません。WEBサイトのコンテンツが充実していることが前提で、その上に自動化の仕組みを載せるイメージです。
まとめ:WEBサイトを営業チームの頼れる味方にしよう
ここまでの内容を振り返りましょう。
- 購買行動の変化:BtoBでも購買プロセスの大部分がWEB上で完了する時代。ホームページは「24時間の営業担当」として活用すべき
- 営業に役立つコンテンツ:事例紹介、サービス紹介、FAQの3つが特に重要
- お問い合わせ導線:ハードルを下げる工夫、全ページへのCTA設置、複数の窓口を用意する
- 営業資料との連携:提案書にURL・QRコードを記載し、ホワイトペーパーで見込み客を獲得する
- MAの活用:小さく始めて、見込み客の育成を自動化する
WEBサイトと営業活動の連携は、一度に完璧を目指す必要はありません。まずは「事例ページを充実させる」「お問い合わせフォームを改善する」といった、すぐにできることから始めてみてください。一つずつ改善を積み重ねることで、ホームページは御社の営業チームにとって頼れる味方に成長していくはずです。
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