成果につながる情報設計とは ── 5つの原則
WEBサイトの情報設計には、見た目や使いやすさの改善だけでなく、ビジネスの成果(コンバージョン)を最大化するという重要な役割があります。
情報設計の基本概念については別記事「情報設計(IA)とは?」で詳しく解説していますので、基礎をおさらいしたい方はそちらもあわせてご覧ください。
本記事では、成果を出すための情報設計を5つの原則に整理し、それぞれの実践方法を具体的にご紹介します。
用語メモ
コンバージョン(CV)とは、WEBサイトにおける「成果」のことです。BtoB企業であれば「問い合わせ」「資料請求」、ECサイトであれば「購入」、メディアサイトであれば「会員登録」など、サイトの目的に応じて定義が異なります。
原則1:ユーザーの「意図」を起点にする
検索意図とサイト構造の一致
サイトに訪れるユーザーには、それぞれ明確な「意図」があります。この意図を正しく理解し、サイト構造に反映させることが、成果を出す情報設計の第一歩です。
ユーザーの検索意図は、大きく4つに分類できます。
- 情報収集型:「○○とは」「○○ やり方」── 知識を得たい
- 比較検討型:「○○ おすすめ」「○○ 比較」── 選択肢を絞りたい
- 行動型:「○○ 申し込み」「○○ 見積もり」── 具体的なアクションを起こしたい
- 指名型:「会社名」「サービス名」── 特定の企業やサービスを探している
たとえば、群馬県の建設会社がWEBサイトを運営している場合を考えてみましょう。
- 情報収集型のユーザーには → ブログやコラムで専門知識を提供
- 比較検討型のユーザーには → 実績ページや他社との違いを明示するページ
- 行動型のユーザーには → 問い合わせフォームへの最短導線
- 指名型のユーザーには → 会社概要やアクセス情報の充実
具体例:製造業B2Bサイトの改善
ある製造業のお客様のサイトでは、トップページに「会社理念」と「社長挨拶」が大きく掲載されていました。しかしアクセス解析を見ると、訪問者の多くは「製品情報」と「技術資料」を求めて訪れていることがわかりました。
トップページの構成を「製品カテゴリ一覧」「技術力の紹介」「導入事例」中心に再設計したところ、問い合わせ件数が月平均で約1.8倍に増加しました。ユーザーの意図とサイト構造を一致させた好例です。
意図と構造を一致させるチェックリスト
- サイトの主要なターゲットユーザーの検索意図を3つ以上リストアップしているか
- 各意図に対応するページ(またはコンテンツ)が用意されているか
- トップページから各意図に対応するページへの導線が明確か
- 流入キーワードとランディングページの内容が一致しているか
原則2:導線を「設計」する
導線設計のフレームワーク:AIDA モデルの応用
マーケティングでよく使われるAIDA モデル(Attention → Interest → Desire → Action)は、WEBサイトの導線設計にも応用できます。
用語メモ
AIDAモデルとは、消費者の購買行動プロセスを4段階で表したモデルです。Attention(注意)→ Interest(興味)→ Desire(欲求)→ Action(行動)の頭文字をとっています。WEBサイトでは、各段階に対応するコンテンツを配置し、自然な流れでコンバージョンへ導く設計に活用します。
WEBサイトにおけるAIDA導線の具体例:
- Attention(注意):ファーストビューでキャッチコピーとメインビジュアルによりユーザーの関心を引く
- Interest(興味):サービスの特長や強みを簡潔に提示し、「もっと知りたい」と思わせる
- Desire(欲求):実績・事例・お客様の声で信頼感を醸成し、「ここに頼みたい」と感じてもらう
- Action(行動):CTA(行動喚起ボタン)で問い合わせや資料請求に誘導する
CTA(行動喚起)の最適配置
CTA(Call To Action)とは、「お問い合わせはこちら」「無料相談を申し込む」といった、ユーザーに具体的な行動を促すボタンやリンクのことです。
CTAの効果を高めるポイントは以下のとおりです。
- ページの文脈に合った位置に配置する:実績紹介の直後に「同じような課題をお持ちの方はご相談ください」と設置
- ボタンの文言を具体的にする:「送信」→「無料で相談する」「見積もりを依頼する」
- 視覚的に目立たせる:周囲と異なる色を使い、十分なサイズで表示
- 心理的ハードルを下げる:「まずは話を聞いてみたい方もお気軽に」といった補足文言を添える
- 複数箇所に設置する:ページの上部・中部・下部など、ユーザーが「行動したい」と感じるタイミングに合わせて配置
原則3:情報の優先順位を明確にする
ビジュアルヒエラルキーの活用
ビジュアルヒエラルキーとは、デザインの手法を使って情報の重要度の序列を視覚的に表現する考え方です。ユーザーはページ全体を隅々まで読むのではなく、視線の動きに沿って重要な情報から順に認識していきます。
ビジュアルヒエラルキーを形成する要素:
- サイズ:大きい要素ほど重要と認識される
- 配置:上部・左上にある要素ほど先に目に入る
- 色・コントラスト:周囲と異なる色や高いコントラストで注目を集める
- 余白:重要な要素の周囲に十分な余白を設けると際立つ
- 書体の太さ・大きさ:見出しと本文の明確な差が情報の階層を伝える
F型・Z型の視線パターンを意識する
WEBページにおけるユーザーの視線の動きには、代表的な2つのパターンがあります。
- F型パターン:テキストが多いページ(ブログ、記事ページ)で見られる。ページ上部を横に読み、少し下がってまた横に読み、その後は左側を縦にスキャンする
- Z型パターン:画像やブロック要素が多いページ(トップページ、LPなど)で見られる。左上→右上→左下→右下とZ字型に視線が動く
これらのパターンを知った上で、重要な情報やCTAを視線が通る位置に配置することで、コンバージョン率の向上が期待できます。
原則4:一貫性と予測可能性を保つ
デザインパターンの統一
ユーザーがサイトを快適に使うためには、ページ間で操作方法やレイアウトが一貫していることが重要です。あるページではメニューが左側にあり、別のページでは右側にある ── こうした不統一は、ユーザーに不要な認知負荷を与えます。
一貫性を保つべき要素は以下のとおりです。
- ナビゲーションの位置と構成
- 見出しの書き方のルール(体言止めか、文末表現か)
- ボタンの色・形・文言のルール
- リンクテキストの表現方法(下線の有無、色)
- 画像のサイズ比率やトリミングのルール
ユーザーの「学習」を妨げない
ユーザーはサイトを使ううちに、「このサイトではこうすればよい」というルールを無意識に学習します。この学習を裏切らないことが大切です。
たとえば、「青い下線のテキストはリンクである」「ハンバーガーアイコン(三本線のアイコン)をタップするとメニューが開く」といった一般的なWEBの慣習に従うことで、ユーザーは迷わず操作できます。独自性を追求するあまり、基本的なUIの慣習から大きく外れてしまうのは逆効果です。
「慣習に従う」ことは「没個性」ではない
UIの基本的な慣習に従うことと、デザインの個性を出すことは矛盾しません。操作の仕方は慣習どおりにしつつ、ビジュアルやコンテンツでブランドの個性を表現する ── これが成果の出るWEBデザインの考え方です。ブランディングとデザインの関係については、別記事「ブランディングに基づくWEBデザインとは」でも解説しています。
原則5:データで検証し、改善し続ける
A/Bテストの基本と活用法
A/Bテストとは、2つ(またはそれ以上)のバリエーションを同時に公開し、どちらがより良い成果を出すかをデータで比較する手法です。
用語メモ
A/Bテストとは、WEBページの特定の要素(ボタンの色、キャッチコピー、レイアウトなど)について、A案とB案を用意し、訪問者をランダムに振り分けて成果の差を測定する実験手法です。感覚ではなくデータに基づいて改善判断ができるため、科学的なサイト改善の柱となる手法です。
A/Bテストで検証できる主な要素:
- CTAボタン:色、文言、サイズ、配置位置
- ファーストビュー:キャッチコピー、メインビジュアル、レイアウト
- フォーム:入力項目の数、ステップ分割の有無
- ナビゲーション:メニューの項目数、表示順序、ラベリング
- コンテンツ構成:セクションの順序、掲載情報の取捨選択
A/Bテストを成功させるポイント
- 一度に変更する要素は1つに絞る:複数の要素を同時に変えると、何が成果に影響したのか判断できなくなります
- 十分なサンプル数を確保する:一般的に、各パターンに少なくとも100〜200回以上のアクセスが必要です
- テスト期間を適切に設定する:最低でも1〜2週間は実施し、曜日や時間帯による偏りを均す
- 仮説を立ててからテストする:「CTAの文言を具体的にすればクリック率が上がるはず」のように、仮説を持ってテストを設計する
- 結果を記録し蓄積する:テストの結果(成功も失敗も)を蓄積することで、自社サイトに関する知見が溜まり、改善の精度が上がっていきます
ヒートマップ分析の活用
ヒートマップとは、ユーザーがページ上でどこをよくクリックしているか、どこまでスクロールしているかを色の濃淡で可視化するツールです。代表的なツールとして、Microsoft ClarityやMouseflowなどがあります。
ヒートマップから読み取れること:
- クリックヒートマップ:よくクリックされている場所 → ユーザーが興味を持っている要素がわかる
- スクロールヒートマップ:ページのどこまで読まれているか → 重要な情報の配置位置が適切か判断できる
- アテンションヒートマップ:ユーザーが長く滞在しているエリア → 関心の高いコンテンツがわかる
Googleアナリティクスで見るべき指標についても別記事で詳しく解説していますので、データ活用に興味のある方はあわせてご覧ください。
コンバージョン改善のための導線設計 ── 実践ガイド
ページタイプ別の導線設計
サイト内のページにはそれぞれ役割があり、役割に応じた導線設計が必要です。
トップページの導線設計:
- ファーストビューで「何の会社か」「何ができるか」を即座に伝える
- ターゲット別の入口を用意する(「サービスを探す」「実績を見る」「まず相談する」など)
- 最新情報やブログへのリンクでコンテンツの鮮度を伝える
サービスページの導線設計:
- サービスの概要 → 特長 → 実績 → 料金 → CTAの順で構成
- 関連する事例ページへのリンクを設置
- よくある質問(FAQ)で不安要素を解消してからCTAへ誘導
ブログ・コラムページの導線設計:
- 記事本文中に関連サービスへの自然なリンクを挿入
- 記事下部に「この記事を読んだ方におすすめのサービス」を表示
- 関連記事リンクでサイト内の回遊を促す
フォームの最適化(EFO)
問い合わせフォームは、コンバージョンの最終関門です。せっかくフォームまでたどり着いたユーザーを離脱させないためには、入力の負担を最小限にする工夫が欠かせません。
用語メモ
EFO(Entry Form Optimization)とは、入力フォームの最適化のことです。フォームの入力項目数・レイアウト・エラー表示の仕方などを改善し、フォーム完了率を高める施策を指します。
フォーム最適化のチェックポイント:
- 入力項目は本当に必要なものだけに絞る(名前・メール・お問い合わせ内容が基本)
- 必須項目と任意項目を明確に区別する
- 入力途中でエラーメッセージが表示される仕組み(リアルタイムバリデーション)を導入する
- スマートフォンでの入力に配慮する(電話番号欄で数字キーボードが出るなど)
- 送信ボタンの文言を「送信」→「無料で相談する」のように具体的にする
- プライバシーポリシーへのリンクを設置し安心感を与える
フォームの入力項目を1つ減らすだけで完了率が向上する
一般的に、フォームの入力項目が1つ増えるごとにフォーム完了率は約5〜10%低下するといわれています。「あったほうがよい」程度の項目は思い切って削除し、本当に必要な情報だけを聞くようにしましょう。
成果改善の実践サイクル
情報設計に基づくサイト改善は、一度やって終わりではありません。継続的なPDCAサイクルを回すことで、少しずつ着実に成果を向上させていくことができます。
- Plan(計画):アクセス解析データやヒートマップから課題を抽出し、改善仮説を立てる
- Do(実行):A/Bテストやコンテンツの改修を実施する
- Check(検証):テスト結果を集計し、仮説が正しかったかを検証する
- Act(改善):検証結果を踏まえて本番環境に反映し、次の改善サイクルへ
このサイクルを月に1回でも回していくことが大切です。大がかりなリニューアルを数年に一度行うよりも、小さな改善を継続的に積み重ねるほうが、コストパフォーマンスの面でも効果的です。
まとめ:成果を出す情報設計の5原則
- ユーザーの「意図」を起点にサイト構造を設計する
- AIDAモデルに基づいて導線を「設計」する
- ビジュアルヒエラルキーで情報の優先順位を明確にする
- 一貫性と予測可能性を保ち、ユーザーの認知負荷を下げる
- A/Bテストやヒートマップでデータに基づく改善を続ける
私たちは、公開して終わりではなく、公開後のデータ分析と改善を通じて成果を高めていくことを大切にしています。「サイトはあるけれど成果が出ない」とお感じの方は、まず現在のサイト構造を情報設計の観点から見直してみることをおすすめします。お気軽にmotiveまでご相談ください。