ブランディングに基づくWEBデザインとは|見た目だけではないデザインの本質

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こんな人にオススメの記事

  • 自社のWEBサイトに一貫性のあるデザインを求めている経営者の方
  • WEBデザインの発注時に何を伝えるべきか悩んでいる方
  • ブランディングとデザインの関係を理解したい事業責任者の方
  • 自社のブランドイメージをWEBサイトで正しく伝えたい方
  • デザインシステムやトンマナの概念を学びたいWEB担当者の方

この記事の目次

WEBデザインの本質 ── 「見た目」の先にあるもの

WEBサイトのデザインというと、多くの方が「色使い」「レイアウト」「写真の美しさ」といった視覚的な要素を思い浮かべるのではないでしょうか。もちろんそれらは大切な要素ですが、WEBデザインの本質はブランドの価値を正しくユーザーに伝えるコミュニケーションにあります。

たとえば、高級感を売りにしている旅館のWEBサイトが、ポップで賑やかなデザインだったらどうでしょう。あるいは、子育て世代向けのサービスのサイトが、無機質で堅い印象のデザインだったら ── お客様は「何か違う」と感じて離れてしまうかもしれません。

WEBデザインは、見た目の好みで決めるものではなく、「この会社・この事業は何者で、どんな価値を提供するのか」を視覚的に表現する手段です。その土台になるのが「ブランディング」の考え方です。

ブランディングとは何か ── WEBデザインとの関係

ブランド=お客様の心の中にある「イメージの総体」

ブランディングとは、お客様が自社に対して抱くイメージを意図的に形づくっていく活動のことです。ロゴや名刺のデザインだけがブランディングではありません。お客様との接点すべて ── WEBサイト、営業トーク、店舗の雰囲気、電話対応 ── が「ブランド体験」を構成しています。

用語メモ

ブランディングとマーケティングの違いマーケティングは「自社の商品・サービスを知ってもらい、買ってもらう仕組みをつくること」。ブランディングは「お客様の心の中に、自社についての好ましいイメージを形成すること」。マーケティングが「伝える技術」だとすれば、ブランディングは「伝わった結果、相手の中に何が残るか」を設計する営みです。

WEBサイトは、現代において多くのお客様が最初に接するブランドの「顔」です。したがって、WEBデザインはブランディング戦略と密接に結びついている必要があります。

ブランディングなきデザインが抱えるリスク

ブランドの方向性が定まっていないままWEBデザインに着手すると、以下のような問題が起きがちです。

  • デザインの判断基準が「好み」になり、担当者が変わるたびにトンマナが崩れる
  • WEBサイトとパンフレットとSNSでバラバラな印象になる
  • リニューアルのたびにゼロから作り直すことになり、コストと時間がかかる
  • お客様が「この会社はどんな会社なのか」をWEBサイトから読み取れない

中小企業のブランディングの重要性については、「中小企業こそブランディングが必要な理由」の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

ブランディングに基づくWEBデザインのプロセス

ブランディングに基づいたWEBデザインは、以下のプロセスで進めていきます。いきなりデザインの制作に入るのではなく、土台となるブランドの定義から始めることがポイントです。

STEP 1:ブランドの核を定義する

まず、自社のブランドの「核」を言語化します。以下の問いに答えることで、ブランドの骨格が見えてきます。

  • ミッション:私たちは何のために存在するのか?
  • ビジョン:どんな未来を実現したいのか?
  • バリュー:大切にしている価値観は何か?
  • ブランドプロミス:お客様に何を約束するのか?
  • 差別化ポイント:競合と何が違うのか?

これらは経営者の方にとっては「すでにわかっていること」かもしれませんが、言語化して関係者全員で共有することに大きな意味があります。WEB制作会社とのコミュニケーションの出発点にもなります。

STEP 2:ブランドパーソナリティを設定する

ブランドパーソナリティとは、ブランドを「人」に例えたときの性格や人柄のことです。これを設定することで、デザインの方向性が具体的になります。

ブランドパーソナリティの設定例:

  • 「頼れるベテラン職人」── 堅実・技術力・安心感
  • 「気さくな相談相手」── 親しみやすさ・柔軟性・コミュニケーション力
  • 「先進的なイノベーター」── 革新性・スピード・テクノロジー
  • 「地域に根ざしたパートナー」── 親密さ・信頼・地元愛

たとえば「頼れるベテラン職人」というパーソナリティであれば、デザインは落ち着いた色調、しっかりした書体、丁寧な写真 ── という方向性が自然に定まります。

パーソナリティは「形容詞リスト」で共有する
ブランドパーソナリティを関係者やWEB制作会社と共有するとき、5〜7個の形容詞で表現すると伝わりやすくなります。たとえば「誠実な・温かみのある・プロフェッショナルな・洗練された・親しみやすい」のようにリスト化し、デザインの判断基準として活用します。

STEP 3:ビジュアルアイデンティティを構築する

ブランドの核とパーソナリティが定まったら、それを視覚的に表現するビジュアルアイデンティティ(VI)を構築します。

用語メモ

ビジュアルアイデンティティ(VI)とは、企業やブランドの視覚的な識別要素の体系です。ロゴ、カラーパレット、タイポグラフィ(書体)、写真のスタイル、アイコン、イラストレーションなど、視覚に関わるすべての要素を含みます。ブランドの「見た目のルール」を体系化したものと言えます。

ビジュアルアイデンティティを構成する主な要素を見ていきましょう。

カラーパレット(配色計画)

色はブランドの印象を左右する最も強力な要素のひとつです。色彩心理学では、色ごとに人に与える印象が異なるとされています。

  • :信頼・誠実・知性 → 金融機関・IT企業に多い
  • :自然・健康・安心 → 環境関連・ヘルスケア企業に多い
  • :情熱・エネルギー・行動力 → 飲食・エンターテイメントに多い
  • :明るさ・親しみ・活力 → 子ども向け・カジュアルなサービスに多い
  • :高級感・洗練・権威 → ラグジュアリーブランドに多い

WEBサイトのカラーパレットは、以下の3つの要素で構成するのが基本です。

  1. プライマリーカラー:ブランドを象徴するメインカラー(1色)
  2. セカンダリーカラー:メインカラーを補完する色(1〜2色)
  3. アクセントカラー:CTAボタンや強調に使う色(1色)

タイポグラフィ(書体設計)

書体はブランドの「声のトーン」を視覚化する要素です。同じ文章でも、書体が変わるだけで受ける印象は大きく異なります。

  • 明朝体:伝統的・格式・知性 → 老舗企業、文化・教育関連
  • ゴシック体:モダン・明快・力強さ → IT企業、メーカー
  • 丸ゴシック体:親しみやすさ・柔らかさ → 子育て・福祉、カジュアルなサービス

WEBサイトでは、見出し用と本文用の書体を組み合わせて使うのが一般的です。多くの書体を使いすぎるとまとまりがなくなるため、2〜3種類に絞ることをおすすめします。

写真・画像のスタイル

WEBサイトにおいて写真は非常に大きな影響力を持ちます。質の低い写真や、ブランドイメージと合わない写真は、サイト全体の印象を損ないます。

写真のスタイルを統一するポイント:

  • 色調(暖色系か寒色系か、明るめか落ち着いた雰囲気か)
  • 撮影アングル(正面から撮るか、斜めから撮るか)
  • 人物の写り方(笑顔・作業中の様子・フォーマルなポートレートなど)
  • フィルター・加工のルール(統一的な色味の調整)

可能であれば、プロのカメラマンによるオリジナル撮影を行うことをおすすめします。ストックフォト(素材写真)は手軽ですが、「よく見る写真」は競合他社と同じ印象を与えてしまうリスクがあります。

トーン&マナー(トンマナ)の設定

トーン&マナー(通称トンマナ)とは、ブランドの「見た目と言葉遣いの統一ルール」のことです。ビジュアル要素だけでなく、文章の書き方やコミュニケーションの姿勢も含まれます。

用語メモ

トーン&マナー(トンマナ)とは、トーン(Tone)=「声の調子」、マナー(Manner)=「振る舞い方」を意味します。WEB制作においては、デザインの雰囲気(ビジュアルトンマナ)と文章の書き方(ライティングトンマナ)の両方を含む概念です。

ビジュアルトンマナの設定項目

  • 配色ルール(どの場面でどの色を使うか)
  • 余白のルール(ゆったりか密か)
  • 角の処理(角丸か直角か)
  • 線の太さ(細いか太いか)
  • アイコンのスタイル(線画か塗りか)
  • アニメーションの速度や動きの質感

ライティングトンマナの設定項目

  • 文体(です・ます調か、だ・である調か)
  • 一人称(「私たちは」「弊社は」「当社は」)
  • 専門用語の使い方(そのまま使うか、平易に言い換えるか)
  • 読者への呼びかけ方(「お客様」「あなた」「皆さま」)
  • 見出しのトーン(堅めか、やわらかめか)

デザインシステムの構築

デザインシステムとは、ブランドのビジュアルルールをまとめた「デザインの辞書」のようなものです。サイトを構成するあらゆるパーツ(ボタン、フォーム、カード、見出しなど)のデザインルールを体系化し、一貫性のあるデザインを効率的に維持するための仕組みです。

デザインシステムに含まれる主な要素

  • カラートークン:色の使い方のルール(背景色、テキスト色、ボーダー色など)
  • タイポグラフィスケール:見出し・本文・キャプションなどの文字サイズの体系
  • スペーシングルール:余白の取り方の基準
  • UIコンポーネント:ボタン・入力フォーム・カード・タブなどの部品のデザイン仕様
  • レイアウトグリッド:ページの基本的なレイアウト構造

中小企業にもデザインシステムは必要?
大規模なデザインシステムは大企業向けの印象がありますが、中小企業でも「簡易版のデザインシステム」は有用です。最低限、カラーパレット・書体ルール・ボタンのデザインルール・写真のスタイルガイドを1枚のシートにまとめておくだけでも、サイト更新時の品質維持に大きく貢献します。

ブランディングに基づくWEBデザインの実践ポイント

ファーストビューで「何者か」を伝える

WEBサイトのファーストビュー(スクロールせずに見える最初の画面)は、ユーザーがサイトの印象を決定づける最も重要なエリアです。ここで伝えるべきことは、おしゃれさよりも「この会社は何をしてくれるのか」というメッセージです。

キャッチコピー・メインビジュアル・ナビゲーションの三位一体で、ブランドの核を表現しましょう。

一貫した体験を全ページに

トップページだけブランディングを意識し、下層ページは淡泊 ── というケースは意外と多いものです。お客様はトップページだけを見て離れるわけではありません。サービスページ、実績ページ、会社概要、お問い合わせフォーム ── すべてのページで一貫したブランド体験を提供することが大切です。

コンテンツもブランドの一部

文章の書き方、使用する写真の質、情報の出し方 ── コンテンツそのものがブランドを体現します。「私たちらしい」コンテンツとはどんなものかを定義し、それに基づいてコンテンツを制作・更新していくことが、長期的なブランド構築につながります。

情報設計の観点からサイト構造を整理することも、ブランド体験の質を高める重要な要素です。情報設計の詳しい手法については「情報設計(IA)とは?」の記事でご紹介しています。

WEB制作会社にブランディングを伝えるコツ

WEB制作を外注する際、ブランドの方向性をうまく伝えられるかどうかが、仕上がりの満足度を大きく左右します。

効果的な伝え方

  • 参考サイトを3〜5つ提示する:「こういう雰囲気が好き」ではなく「ここのこの部分が自社のイメージに近い」と具体的に伝える
  • NGイメージも共有する:「こういう雰囲気にはしたくない」という情報も貴重な判断材料になる
  • 言葉で方向性を伝える:「洗練された×温かみのある」「伝統的でありながら革新的」のようにキーワードで表現する
  • 競合他社のサイトとの差別化を意識する:「ここは似たくない」「ここは超えたい」を明確にする

まとめ:ブランディングに基づくWEBデザインの要点

  • WEBデザインの本質は、ブランドの価値を視覚的に伝えるコミュニケーション
  • ブランドの核を定義し、パーソナリティを設定してからデザインに着手する
  • カラー・タイポグラフィ・写真のスタイルでビジュアルアイデンティティを構築する
  • トンマナの設定とデザインシステムの整備で、一貫性を維持する
  • すべてのページ・すべてのコンテンツで統一されたブランド体験を提供する

私たちは、デザインの前にブランドを理解するところから制作をスタートします。見た目の美しさだけでなく、お客様のビジネスの本質を伝えるWEBサイトを目指しています。「自社らしさをWEBサイトで表現したい」とお考えの方は、ぜひmotiveまでお気軽にご相談ください。

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