ロゴだけではないブランディング|WEBサイトでブランドを体現する方法

約10分で読めます

こんな人にオススメの記事

  • ブランディングに興味はあるが何から始めればよいかわからない経営者の方
  • WEBサイトの見た目に統一感がないと感じている事業責任者の方
  • ロゴ以外のブランド表現について体系的に学びたい方
  • ブランドガイドラインの作成を検討しているWEB担当者の方
  • パンフレットやSNSとWEBサイトの印象を揃えたい方

この記事の目次

ブランドはロゴだけでは伝わらない

「ブランディング」というと、まずロゴデザインを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もちろんロゴはブランドの象徴として非常に重要な要素ですが、ブランドの印象はロゴだけで決まるわけではありません。

実際に、お客様がWEBサイトを訪れたときの「この会社はこういう雰囲気だな」という印象は、色、書体、写真の雰囲気、余白の取り方、言葉づかい── さまざまな要素の積み重ねによって形成されます。

これらの要素ひとつひとつがブランドの「声」を伝えています。どれかひとつでもちぐはぐだと、全体の印象がぼやけてしまいます。本記事では、ロゴ以外のブランド表現要素について、それぞれの役割と具体的なガイダンスをご紹介します。

ブランドを構成する6つの表現要素

1. カラー(色彩)

色は、言葉よりも早く人の感情に働きかける要素です。WEBサイトの配色は、ブランドの性格を雄弁に語ります。

配色設計の基本ステップ:

  1. ブランドカラーを定義する:企業のメインカラーを1色決める。すでにロゴやコーポレートカラーがある場合はそれを基本とする
  2. サブカラーを決める:メインカラーを補完する1〜2色を選ぶ。類似色でまとめると落ち着いた印象、補色を使うとメリハリのある印象に
  3. アクセントカラーを設定する:ボタンやリンク、重要な情報の強調に使う色。メインカラーと十分なコントラストがある色を選ぶ
  4. ベースカラーを決める:背景色や大面積に使う色(白、明るいグレー、アイボリーなど)
  5. 使用比率のルールを設定する:一般的にベース70%、メイン25%、アクセント5%が目安

用語メモ

カラーコードとは、ブランドカラーを統一するために色を「数値」で管理する方法です。WEBでは「#FF6600」のような16進数のカラーコード(HEXコード)で色を指定します。印刷物ではCMYK、画面表示ではRGBという色の表現方法を使い分けますが、いずれの場合も数値で定義しておけば、媒体が変わっても同じ色を再現できます。

よくある色の失敗と対策:

  • 色を使いすぎる → 3〜4色に絞り、色数を制限する
  • テキストと背景のコントラスト不足 → アクセシビリティ(WCAG基準で4.5:1以上)を確保する
  • WEBと印刷物で色が異なる → カラーコードを統一管理する
  • ページによって微妙に色が違う → CSSのカスタムプロパティ(変数)で一元管理する

2. タイポグラフィ(書体・文字組み)

書体は「ブランドの声の質感」を表現します。電話でいえば、話す内容は同じでも、声のトーンが違えば印象がまったく変わるのと同じことです。

WEBサイトの書体選びのポイント:

  • ブランドパーソナリティとの一致:格式高い印象なら明朝体、親しみやすい印象ならゴシック体
  • 可読性の確保:本文には読みやすい書体を選ぶ。装飾的な書体は見出しやキャッチコピーに限定する
  • ウェイト(太さ)の使い分け:見出しは太め(Bold)、本文は標準(Regular)、キャプションは細め(Light)のように役割に応じて太さを変える
  • Webフォントの活用:Google FontsやAdobe Fontsを活用すれば、デバイスに依存せず同じ書体を表示できる

文字組みのルール:

  • 行間(line-height):本文は文字サイズの1.7〜2.0倍が読みやすい
  • 字間(letter-spacing):見出しは少し広めに、本文は標準で
  • 一行の文字数:30〜40文字程度が読みやすいとされる

3. 写真・画像

写真はWEBサイトにおいて最も強い印象を与える要素のひとつです。写真のスタイルを統一するだけで、サイト全体の印象が格段に向上します。

写真スタイルの統一ガイド:

  • 明るさ・コントラスト:全体的に明るめか、やや落ち着いた雰囲気か
  • 色温度:暖かみのある色調(暖色系)か、クールな色調(寒色系)か
  • 被写体の扱い方:人物中心か、空間・プロダクト中心か
  • 背景の処理:自然な環境で撮影するか、白背景で統一するか
  • 構図のパターン:三分割法で統一する、余白を多めにとるなど

ストックフォト(素材写真)使用時の注意点

  • できるだけ同じ素材サイトから、同じシリーズの写真を選ぶことで統一感を保てます
  • 明らかに「素材っぽい」不自然な笑顔の写真は避けましょう
  • 自社の雰囲気とかけ離れた海外モデルの写真は違和感を与えます
  • 重要なページ(トップ、サービス紹介)はオリジナル撮影を強くおすすめします

4. 余白とレイアウト

余白(ホワイトスペース)は「何もない空間」ではなく、情報を整理し、ブランドの雰囲気を演出する重要なデザイン要素です。

  • 余白が多い → 高級感、洗練、落ち着き、ゆとり
  • 余白が少ない → にぎやかさ、情報量の多さ、活気

ブランドの性格に応じて余白の量を調整しましょう。高級路線の企業であれば余白をたっぷりと取り、情報量よりも「間」を大切にする。カジュアルで親しみやすい印象を目指すなら、適度な密度感を保つ ── というように、余白はブランドを語る無言の言葉です。

5. アイコン・イラストレーション

アイコンやイラストは、文字だけでは伝わりにくい情報を補完し、視覚的なリズムを生む要素です。

統一感を保つためのルール:

  • 線の太さを統一する:すべてのアイコンで同じ線幅を使用
  • スタイルを揃える:線画(アウトライン)か塗り(フィル)かを統一
  • 角の処理を揃える:角丸か直角かを統一
  • カラールールに従う:ブランドカラーに基づいた着色
  • 同一のアイコンセットを使う:異なる出典のアイコンを混在させない

6. 言葉づかい(ボイス&トーン)

WEBサイトにおける文章も、ブランドの重要な表現手段です。同じ内容でも、言葉の選び方ひとつでブランドの印象は大きく変わります。

表現スタイルの比較例:

  • 格式高い印象:「お客様のご要望を丁寧にお伺いし、最適なソリューションをご提案いたします」
  • 親しみやすい印象:「まずはお話をお聞かせください。一緒にベストな方法を考えましょう」
  • 先進的な印象:「データドリブンなアプローチで、課題解決を加速させます」

どの表現がよい・悪いではなく、ブランドパーソナリティに合った言葉を一貫して使い続けることが大切です。

用語メモ

ボイスとトーンの違いボイス(Voice)はブランドの「性格」そのもので、常に一貫しています。トーン(Tone)は場面に応じた「声の調子」で、状況によって変化します。たとえば、ブランドのボイスが「親しみやすい」であっても、エラーメッセージではやや真剣なトーンに、キャンペーンページでは明るいトーンに ── という使い分けをします。

一貫性がブランド力を育てる

なぜ一貫性がそこまで重要なのか

ブランドの一貫性が重要な理由は、人は「繰り返し接する同じ印象」によって信頼感と記憶を形成するからです。

心理学には「単純接触効果(ザイアンスの法則)」という概念があります。人は繰り返し接触するものに対して、好感度が増していくというものです。ただし、接触するたびに印象が異なると、この効果は働きません。一貫した印象を繰り返し伝えてこそ、ブランドは人の記憶に定着します。

一貫性が崩れやすいポイント

以下のような場面で、ブランドの一貫性が崩れがちです。

  • WEB担当者が交代したとき:新しい担当者の個人的なセンスでデザインが変わる
  • 急ぎのキャンペーンページを追加するとき:時間がなくルールを無視して作ってしまう
  • 外部にコンテンツ制作を発注するとき:ブランドのトンマナが共有されていない
  • SNSとWEBサイトの運用が別チームのとき:チーム間で表現がバラつく
  • 事業が拡大して新サービスのページを追加するとき:既存ページとの整合性が取れない

ブランドガイドラインの活用

ブランドガイドラインとは

ブランドガイドラインとは、ブランドの表現ルールを文書化したものです。「このブランドはこう表現する」という取扱説明書と考えるとわかりやすいでしょう。

WEB制作に関わるブランドガイドラインには、以下の項目を含めることをおすすめします。

  1. ブランドの基本理念:ミッション・ビジョン・バリュー
  2. ブランドパーソナリティ:ブランドの性格を表す形容詞リスト
  3. ロゴの使用規定:最小サイズ、余白、使用禁止例
  4. カラーパレット:各色のカラーコード、使用ルール
  5. タイポグラフィ:使用書体、サイズの体系、使い分けルール
  6. 写真のスタイルガイド:撮影方針、使用OKと使用NGの例
  7. アイコン・イラストのルール:スタイル、線幅、色のルール
  8. ライティングガイド:文体、用語の使い方、NGワード
  9. WEB固有のルール:ボタンのデザイン、リンクの表現、レイアウトパターン

中小企業向けの簡易ガイドラインの作り方

「ブランドガイドライン」というと大企業のものという印象をお持ちかもしれませんが、中小企業でもコンパクトなガイドラインを作ることで、ブランドの一貫性を効率的に守ることができます。

最低限これだけは決めておきたい5項目

  1. ブランドカラー3色のカラーコード
  2. 使用書体のリスト(WEB用・印刷用)
  3. ロゴの使用ルール(最小サイズ・背景色との組み合わせ)
  4. 写真のトーン(OK例とNG例を2〜3枚ずつ)
  5. 文章のトーン(こう書く / こう書かない の例文を3つずつ)

これだけでもA4で2〜3枚程度にまとまります。まずはここから始めましょう。

WEBサイトにおけるブランド体現のチェックリスト

自社のWEBサイトがブランドを正しく体現できているか、以下のチェックリストで確認してみてください。

  • ファーストビューで「この会社がどんな会社か」が伝わるか
  • すべてのページで配色やフォントが統一されているか
  • 写真のスタイル(明るさ・色調・構図)に統一感があるか
  • ボタンのデザインとラベリングが全ページで一貫しているか
  • 文章の語調が全ページで揃っているか
  • パンフレットや名刺など、他の媒体との印象が揃っているか
  • SNSのプロフィール画像や投稿の雰囲気とWEBサイトが一致しているか
  • 採用ページと顧客向けページで、ブランドの根底にある価値観が共通しているか

ブランディングの基本的な考え方については「ブランディングに基づくWEBデザインとは」の記事で、中小企業におけるブランディング戦略については「中小企業こそブランディングが必要な理由」の記事でそれぞれ解説していますので、あわせてご覧ください。

ブランドガイドラインを「使い続ける」ための工夫

ガイドラインは作って終わりではなく、日常的に活用される状態を維持することが大切です。

  • クラウドで共有する:Googleドライブやnotionなど、関係者がいつでもアクセスできる場所に置く
  • 新しいメンバーの入社時に必ず共有する:WEB担当者だけでなく、営業・広報にも
  • 制作外注時の仕様書に添付する:WEB制作会社やライターに必ず渡す
  • 定期的に見直す:年に1回程度、事業の変化に応じてアップデートする
  • 良い例・悪い例を蓄積する:実際の制作物をサンプルとして追加していく

まとめ:ロゴの先にあるブランド表現

  • ブランドの印象は、カラー・書体・写真・余白・言葉づかいの総合力で決まる
  • 各要素にルールを設け、一貫性を保つことがブランド力の源泉
  • ブランドガイドラインを作成し、関係者全員で共有・活用する
  • 中小企業でも、最低限の5項目から始めることで大きな効果が得られる
  • ガイドラインは作って終わりでなく、日常的に活用し、定期的に更新する

私たちは、WEBサイト制作を通じてお客様のブランドを「目に見える形」にするお手伝いをしています。ロゴだけでなく、サイトのすみずみまでブランドの価値が行き渡るWEBサイトを一緒につくりましょう。まずはmotiveまでお気軽にご相談ください。

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