「ホームページを作りたいけれど、CMSって何?」「WordPressがいいと聞いたけれど、本当にうちの会社に合うの?」──そんな疑問をお持ちの経営者の方は少なくありません。WEBの専門知識がなくても大丈夫です。この記事では、CMSの基本からWordPressが中小企業に選ばれる理由、導入時の注意点まで、かみ砕いてわかりやすく解説します。読み終えるころには、「自社に必要なのはどんな仕組みか」がクリアになっているはずです。
CMSとは?「ホームページの裏側にある管理システム」のこと
まず最初に、「CMS」という言葉の意味から押さえておきましょう。ニュースサイトや企業のホームページなど、日頃みなさんが目にしているWEBサイトの多くは、実はこのCMSという仕組みで動いています。裏側を知ると、ホームページに対するハードルがぐっと下がります。
CMSをひとことで言うと「ブログ感覚でホームページを編集できる仕組み」
用語メモ
CMS(シーエムエス)とは「Content Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)」の略で、日本語にすると「コンテンツ管理システム」です。ホームページの文章や画像などを、専門知識がなくても追加・編集・削除できるようにする仕組みのことを指します。
CMSをひとことで表すなら、「ブログを書くような感覚で、ホームページを編集できる仕組み」です。文字を打ち込んで、画像を選んで、ボタンを押せば公開される。特別なプログラミングの知識は必要ありません。
わかりやすい比喩で考えてみましょう。CMSがない状態でホームページを更新するのは、いわば「設計図を手書きで描き直す」ようなものです。HTMLやCSSといった専門的なコードを直接書き換えなければならず、少しでも記述を間違えるとページの表示が崩れてしまいます。
一方、CMSがある状態は「あらかじめ用意されたテンプレートに、文字や写真を当てはめていくだけ」のイメージです。年賀状作成ソフトを使ったことがある方なら、あの感覚に近いと思ってください。デザインの枠組みはすでに整っているので、御社は中身を入れ替えるだけで済むのです。
CMSがない場合、ホームページの更新はどうなる?
では、CMSを使わずにホームページを運用すると、日常的にどのような不便が生じるのでしょうか。具体的な場面を想像してみてください。
たとえば、「年末年始の営業日のお知らせを1件だけ載せたい」としましょう。CMSがなければ、まず制作会社にメールや電話で依頼します。制作会社側で担当者がコードを書き換え、テスト環境で確認し、問題なければ本番に反映する。たった数行のお知らせでも、依頼から公開まで数日かかることは珍しくありません。
さらに、その都度「更新費用」として数千円〜数万円の請求が発生します。年間で考えると、お知らせを月に1〜2回更新するだけでも数万円以上のコストです。スピードとコストの両面で、経営に小さくないダメージを与えてしまいます。
CMSがあれば、こうした日常の更新を自社のスタッフがすぐに行えます。「情報発信のスピード」と「更新コストの削減」、この2つがCMS導入の最大のメリットです。
CMSにはどんな種類がある?代表的な3タイプを紹介
CMSと一口に言っても、実はさまざまな種類があります。ここでは、中小企業が検討する際に知っておきたい代表的な3つのタイプをご紹介します。それぞれの特徴を把握しておくと、制作会社との打ち合わせがスムーズに進みます。
オープンソース型(WordPress、Joomla!など)
用語メモ
「オープンソース」とは、ソフトウェアの設計図(ソースコード)が一般に公開されていて、誰でも自由に使ったり改良したりできるという意味です。ソフトそのものは無料で入手できます。
オープンソース型CMSの代表格が「WordPress(ワードプレス)」です。世界中のWEBサイトの4割以上がWordPressで作られているとされ、圧倒的なシェアを誇っています。ほかにも「Joomla!(ジュームラ)」や「Drupal(ドルーパル)」といったオープンソース型CMSがありますが、日本の中小企業であればWordPressが最も身近な選択肢でしょう。
オープンソース型の最大の強みは「自由度の高さ」です。デザインも機能も、必要に応じてカスタマイズできます。たとえるなら、注文住宅のように間取りから自由に設計できるイメージです。そのぶん、最初の構築にはある程度の専門知識か、制作会社のサポートが必要になります。
クラウド型(Wix、Jimdo、STUDIOなど)
クラウド型CMSは、インターネット上でアカウントを作成するだけで、すぐにホームページを構築できるサービスです。「Wix(ウィックス)」「Jimdo(ジンドゥー)」「STUDIO(スタジオ)」などが有名です。
用語メモ
「クラウド型」とは、ソフトを自分のパソコンにインストールするのではなく、インターネット上のサービスにログインして使う形態のことです。GmailやDropboxと同じ仕組みだと考えるとわかりやすいでしょう。
クラウド型の魅力は、なんといっても「手軽さ」です。テンプレートを選んで文字や画像を入れ替えるだけで、見栄えのよいホームページが短時間で完成します。月額費用も無料プランから用意されていることが多く、初期コストを抑えたい場合には魅力的に映るでしょう。
ただし、注意点もあります。デザインや機能の自由度にはどうしても限界があります。「最初は十分だったけれど、事業が成長するにつれて物足りなくなってきた」という声は少なくありません。さらに、クラウド型から別のCMSへ引っ越し(移行)する際は、ページの構造やデータをそのまま持ち出せないケースが多いのです。結果として、ホームページをゼロから作り直す手間とコストが発生することがあります。
結局どれを選べばいい?中小企業の判断基準
「種類が多くて、結局どれがいいのかわからない」と思われたかもしれません。そこで、シンプルな判断基準をお伝えします。
まず、ページ数が5ページ以下で、お知らせ更新もほとんど必要ない「名刺代わりのホームページ」であれば、クラウド型で十分対応できます。費用も手間も最小限で済むでしょう。
一方、「今後ブログやコラムで情報発信をしていきたい」「商品やサービスのページを増やしていく予定がある」「将来的にネット予約やお問い合わせフォームなどの機能を追加したい」──このように、事業の成長に合わせてホームページも育てていくことを見据えるのであれば、オープンソース型、とくにWordPressが適しています。
判断のポイントは「今だけ」で選ばないことです。3年後、5年後に自社の事業がどう広がっているかを想像し、その成長に対応できるCMSを選びましょう。
なぜWordPressが中小企業に選ばれるのか?5つの理由
数あるCMSのなかで、なぜWordPressがとくに中小企業から支持されているのでしょうか。ここでは代表的な5つの理由を、できるだけ具体的にご説明します。
圧倒的シェアと情報の多さ
先ほども触れましたが、WordPressは世界中のWEBサイトの4割以上で使われています。これは2位以下のCMSを大きく引き離す数字です。シェアが大きいということは、それだけ利用者が多いということ。つまり、困ったときにインターネットで検索すれば、解決策がすぐに見つかりやすいのです。
たとえるなら、iPhoneの使い方がわからないときに検索すれば大量の解説記事や動画が出てくるのと同じです。利用者が少ないマイナーな製品だと、情報が見つからず途方に暮れることがありますが、WordPressではそうした心配がほとんどありません。制作会社やフリーランスの対応者も多いため、依頼先の選択肢が広いこともメリットです。
プラグインで機能追加 & コストの抑えやすさ
用語メモ
「プラグイン」とは、WordPressに後から追加できる拡張機能のことです。スマートフォンにアプリをインストールして機能を増やす感覚と同じだと考えてください。お問い合わせフォーム、SEO対策、セキュリティ強化など、さまざまなプラグインが用意されています。
WordPressには、公式に登録されているだけでも約6万種類以上のプラグインが存在します。多くは無料で利用でき、必要な機能をピンポイントで追加できるのが大きな強みです。
たとえば、「お問い合わせフォームを設置したい」と思ったら、フォーム作成用のプラグインをインストールするだけ。ゼロから開発する場合に比べて、費用を大幅に抑えられます。もちろん、高度なカスタマイズには専門知識が必要ですが、基本的な機能追加であれば、数クリックで完了するものがほとんどです。
また、WordPress自体は無料ソフトウェアです。必要なコストは、ホームページを置くためのサーバー代(月額数百円〜1,500円程度)とドメイン代(年間1,000〜3,000円程度。.jpドメインの場合は6,000円程度)がメインになります。クラウド型CMSの有料プランと比較しても、ランニングコストを抑えやすい構造だといえるでしょう。
自分たちでも更新できる=運用コストの削減
WordPressが中小企業にとって心強い理由の一つが、「日常的な更新を自社スタッフで行えるようになる」ことです。先ほどご説明したCMSの基本メリットを、WordPressでも当然享受できます。
具体的な数字で見てみましょう。もしテキスト修正や画像の差し替えなど軽微な更新を毎回制作会社に依頼した場合、1回あたりの更新費用を3,000円〜5,000円と仮定すると、月に4回の更新で12,000円〜20,000円。年間では144,000円〜240,000円ものコストがかかる計算です。
これがWordPressを導入して自社で更新を行えるようになれば、この運用コストを大幅に削減できます。もちろん、大がかりなリニューアルやデザイン変更はプロに任せるべきですが、「ブログ記事の投稿」「お知らせの追加」「営業時間の変更」「写真の差し替え」といった日常的な作業は、少し練習すれば問題なく対応できるようになります。
「制作はプロに任せて、日々の更新は自社で行う」──この役割分担が、中小企業のWEB運用における理想的なかたちです。WordPressなら、その分担がスムーズに実現できます。
WordPress導入のデメリット・注意点も正直にお伝えします
ここまでWordPressのメリットを中心にお伝えしてきましたが、もちろん万能ではありません。導入を検討するうえで知っておいていただきたい注意点を、正直にお伝えします。事前に理解しておけば、適切に対処できるものばかりです。
セキュリティ対策は「やること」がある
WordPressは世界中で使われている分、悪意のある攻撃の対象にもなりやすいという側面があります。「シェアが高い=狙われやすい」という構図は、WindowsパソコンがMacよりもウイルスに狙われやすいのと似ています。
ただし、必要以上に怖がる必要はありません。セキュリティ対策の基本は、いわば「家の鍵をきちんとかける」レベルのことです。具体的には、以下のような対策を日頃から行っておけば、リスクを大きく減らすことができます。
まず、WordPress本体やプラグインのアップデート(更新)をこまめに行うこと。これはスマートフォンのアプリを最新版に保つのと同じ感覚です。次に、ログインパスワードを推測されにくい複雑なものに設定すること。そして、セキュリティ対策用のプラグインを導入しておくこと。この3つを守るだけでも、基本的な安全性は確保できます。
なお、これらの対策が不安な場合は、制作会社に「保守管理プラン」を依頼するという方法もあります。月額数千円程度で、アップデートやバックアップを代行してもらえるサービスが一般的です。セキュリティに関しては「自分でやるか、プロに任せるか」を選べるという点も、WordPressの柔軟なところです。
「無料=全部自分でやる」ではない
「WordPressは無料」と聞くと、「じゃあ全部自分でできるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは少し誤解が含まれています。
たしかにWordPressのソフトウェア自体は無料ですが、それはあくまで「素材が無料で手に入る」ということ。たとえるなら、料理のレシピと材料は無料で手に入っても、おいしく仕上げるにはプロの料理人の腕が必要な場面があるのと同じです。
とくに、初期構築の段階──デザインの設計、サーバーの設定、SEO(検索エンジンで上位に表示されるための対策)の基本設定、セキュリティの初期設定──こうした部分は、プロの制作会社に任せることを強くおすすめします。ここをしっかり作り込んでおけば、あとの日常運用は自社で十分に対応できます。
WordPress導入で大切なのは「最初の構築はプロに任せ、日常の更新は自社で行う」という分担です。この役割分担をはっきりさせておくことで、コストと品質のバランスがとれた運用が実現します。
CMS導入を成功させるために、事前に決めておくべき3つのこと
CMSやWordPressの概要がつかめたら、次は「実際に導入するとき、何を準備しておけばスムーズなのか」を確認しておきましょう。制作会社に相談する前に以下の3つを整理しておくだけで、打ち合わせの質が格段に上がります。
目的を明確にする & 更新担当者を決めておく
最も重要なのは、「なぜホームページを作る(リニューアルする)のか」という目的を明確にすることです。目的が曖昧なままだと、制作の方向性がぶれてしまい、完成後に「思っていたのと違う」という事態になりかねません。
目的は、たとえば「新規のお客様からのお問い合わせを増やしたい」「採用活動に活用したい」「既存のお客様に最新情報を発信したい」など、できるだけ具体的に言葉にしてみてください。ノートに箇条書きにするだけでも十分です。
もうひとつ大切なのが、「ホームページの更新を誰が担当するのか」を事前に決めておくことです。せっかくCMSを導入しても、「誰が更新するか決まっていない」状態では、ホームページは更新されないまま放置されてしまいます。
更新担当者は、パソコンの基本操作ができる方であれば問題ありません。WordPressの操作は、メールの送受信やWord文書の作成ができるレベルの方なら十分に習得可能です。専任でなくても、「普段の業務の合間に月2〜3回更新する」程度の兼任で始められるケースがほとんどです。
制作会社を選ぶときに確認すべきポイント
制作会社選びは、CMS導入の成否を大きく左右します。費用だけで判断するのではなく、以下のポイントを必ず確認してください。
1つ目は、「公開後のサポート体制が整っているか」です。ホームページは作って終わりではなく、公開後の運用こそが本番です。操作方法のレクチャーや、困ったときのお問い合わせ窓口があるかどうかを確認しましょう。
2つ目は、「同業種・同規模の制作実績があるか」です。中小企業のホームページ制作に慣れている会社であれば、御社の事業や課題を理解したうえで、的確な提案をしてくれる可能性が高くなります。制作事例や実績は、その会社のホームページで公開されていることが多いので、事前にチェックしておきましょう。
3つ目は、「更新マニュアルや操作説明の提供があるか」です。WordPressの操作方法を、御社のスタッフが自力で習得できるようなマニュアルや研修の機会があるかは、その後のスムーズな運用に直結します。
制作会社選びで失敗しないコツは、「作ったあとのこと」まで考えてくれるパートナーを見つけることです。デザインの美しさだけでなく、「公開後にどんなサポートが受けられるのか」を必ず確認しましょう。
まとめ
この記事では、CMSの基本からWordPressが中小企業に選ばれる理由、導入時の注意点まで解説してきました。最後に、大切なポイントを整理しておきましょう。
- CMSとは、専門知識がなくてもホームページの更新・管理ができるようにする仕組みのことです。ブログを書く感覚で操作できます。
- CMSのタイプは大きく分けて2つ。手軽に始められる「クラウド型」と、自由度が高く成長に対応できる「オープンソース型」があります。
- WordPressが中小企業に選ばれる理由は、圧倒的なシェア、プラグインによる機能拡張、自社更新によるコスト削減などです。
- WordPress導入の注意点として、セキュリティ対策の実施と、初期構築はプロに任せるという分担が大切です。
- 導入前に決めておくべきことは、ホームページの目的、更新担当者、そして信頼できる制作会社の選定です。
ホームページは、いまや会社の「もうひとつの営業窓口」です。名刺交換のあとに御社のホームページを見る方、検索エンジンから御社を見つける方──そうした潜在的なお客様との接点を活かすためにも、CMSを活用して「自分たちで育てられるホームページ」を持つことは、大きな一歩になります。
「まずは話だけでも聞いてみたい」「自社に合うのか相談したい」──そうしたお気軽なご相談も歓迎です。御社のホームページ活用の第一歩を、私たちがサポートいたします。