「ホームページのデータが突然消えてしまったら……」と想像したことはありますか。サーバーの障害、サイバー攻撃、操作ミス、WordPress更新時の不具合——WEBサイトのデータが失われるリスクは、実は身近なところにたくさん潜んでいます。そんな万が一の事態からサイトを守るのが「バックアップ」です。この記事では、WEBサイトのバックアップの基礎知識を、専門用語をわかりやすくかみ砕きながら解説します。「バックアップって何をすればいいの?」という方はぜひお読みください。
なぜバックアップが必要なのか
WEBサイトのデータが失われるリスク
WEBサイトのデータは、サーバーというコンピュータの中に保存されています。このデータが失われる原因は複数あります。
- サーバー障害:サーバー機器の故障やデータセンターの事故で、データが消失することがあります
- サイバー攻撃:不正アクセスによりサイトのデータが改ざん・削除されるケースがあります
- 操作ミス:管理画面で誤ってページを削除してしまった、必要なファイルを消してしまったなどの人為的ミス
- WordPress更新時のトラブル:本体やプラグインの更新後にサイトが表示されなくなることがまれにあります
- 制作会社の倒産:サイトの管理を委託していた制作会社が倒産し、データにアクセスできなくなるケースもあります
火事で書類が燃えてしまったらコピーがないと復元できないのと同じで、WEBサイトもバックアップがなければ元に戻せません。何年もかけて蓄積したブログ記事、お客様の声、商品情報——それらが一瞬で失われてしまうリスクがあるのです。
復旧にかかるコストと時間
バックアップなしでサイトを復旧しようとすると、大変な手間と費用がかかります。
- デザインやコーディングをゼロからやり直す必要がある場合、数十万円〜数百万円の費用がかかることもあります
- テキストや画像の元データがなければ、一から作り直す必要があります
- 復旧作業中はサイトが使えないため、お問い合わせや売上の機会を逃します
一方、バックアップがあれば、多くの場合は数時間〜1日程度で元の状態に戻せます。バックアップは、まさに「備えあれば憂いなし」の対策です。
バックアップは「保険」と同じ。何事もない時は意識しませんが、いざという時に御社のサイトを救ってくれます。
何をバックアップするのか
WEBサイトを構成する2つのデータ
WEBサイト、特にWordPressで作られたサイトのデータは、大きく2つに分けられます。
- ファイルデータ:サイトのデザインやレイアウトを決めるプログラムファイル、画像、PDFなどのデータです。サーバーのフォルダに保存されています。
- データベース:ブログ記事の本文、固定ページの内容、お問い合わせフォームの設定など、サイトの「中身」にあたるデータです。
用語メモ
データベースとは、情報を整理して保存する仕組みのことです。WordPressでは、記事の内容や設定情報などがデータベースに格納されています。ファイルとデータベース、両方をバックアップしないと完全な復元はできません。
たとえるなら、ファイルデータは「家の外装と内装」、データベースは「家の中の家具や書類」にあたります。家を建て直す時、外装だけあっても中身がなければ元通りにはなりませんし、家具だけ残っても建物がなければ使えません。両方そろって初めて復元できるのです。
バックアップに含めるべきデータの一覧
WordPress サイトの場合、具体的にバックアップすべきデータは以下の通りです。
- wp-contentフォルダ:テーマ(デザイン)、プラグイン(追加機能)、アップロードした画像がすべて入っているフォルダ
- wp-config.php:データベースへの接続情報が書かれた重要な設定ファイル
- データベース全体:記事・固定ページ・設定情報などすべてのコンテンツ
- .htaccessファイル:URLの転送設定などが記載されたファイル
手動でこれらをすべて管理するのは大変ですが、後述するバックアッププラグインを使えば、ボタン一つで一括バックアップが可能です。
バックアップの頻度はどのくらいが適切か
更新頻度に合わせた目安
バックアップの頻度は、サイトの更新頻度に応じて決めるのが基本です。
- 週に数回以上更新する場合(ブログを頻繁に投稿、商品情報を頻繁に変更するなど):毎日バックアップ
- 週に1回程度の更新:週1回のバックアップ
- ほとんど更新しない場合:月1回のバックアップ
加えて、以下のタイミングでは更新頻度に関係なく手動でバックアップを取りましょう。
- WordPressの本体やプラグインを更新する前
- サイトのデザインやレイアウトを大幅に変更する前
- 新しいプラグインを導入する前
バックアップの世代管理
バックアップは1つだけ保存しておけばよいわけではありません。「世代管理」といって、過去の複数時点のバックアップを保存しておくことが推奨されます。
なぜかというと、サイトが改ざんされてから気づくまでに数日かかることがあるためです。最新のバックアップが「すでに改ざん後の状態」で保存されていたら、正常な状態に戻せません。過去3回分〜5回分のバックアップを保持しておけば、改ざんされる前の状態に戻せる可能性が高まります。
バックアップは「複数世代」保存するのが鉄則。最新の1つだけでは不十分です。
WordPressプラグインで自動バックアップする方法
おすすめのバックアッププラグイン
WordPressには、バックアップを自動で行ってくれる便利なプラグインがあります。代表的なものを2つご紹介します。
- UpdraftPlus:世界で最も利用されているバックアッププラグインの一つ。無料版でもファイルとデータベースの自動バックアップが可能です。Googleドライブやドロップボックスなどの外部ストレージへの保存にも対応しています。復元もプラグインの画面からボタン一つで行えます。
- BackWPup:こちらも人気の高いバックアッププラグインです。スケジュール設定が柔軟で、毎日・毎週・毎月など細かく設定できます。バックアップファイルの保存先も複数から選べます。
バックアップの保存先は「別の場所」に
バックアップの保存先で最もやってはいけないのが、WEBサイトと同じサーバーに保存することです。サーバー自体に障害が起きた場合、サイトのデータもバックアップも一緒に失われてしまいます。通帳と印鑑を同じ場所に保管してはいけないのと同じ理屈です。
推奨される保存先は以下の通りです。
- Googleドライブ:Googleアカウントがあれば15GBまで無料で使えます
- Dropbox:無料プランでも一定容量を利用できます
- 自社のパソコンやNAS:外部ストレージの補助として、手元にもコピーを持っておくと安心です
UpdraftPlusなどのプラグインでは、バックアップの保存先としてこれらの外部ストレージを簡単に設定できます。
バックアップからの復元テスト
バックアップを取っていても、いざという時に復元できなければ意味がありません。一度はバックアップからの復元テストを行い、正常に戻せることを確認しておくことをおすすめします。テスト環境(本番サイトに影響しない別の環境)で復元テストを行うのが理想ですが、難しい場合はWEB制作会社に依頼してください。
制作会社のバックアップ体制を確認する
保守契約にバックアップが含まれているか
WEB制作会社と保守契約を結んでいる場合は、バックアップがサービスに含まれているかどうかを確認しましょう。確認すべきポイントは以下の通りです。
- バックアップの頻度はどのくらいか(毎日?週1回?)
- ファイルとデータベースの両方をバックアップしているか
- バックアップの保存先はどこか(サーバーと同じ場所だけでは不安)
- 何世代分のバックアップを保持しているか
- 復元が必要になった場合の対応時間と費用はどうか
自社でもバックアップを持つ重要性
制作会社にバックアップを任せている場合でも、自社でも独自にバックアップを持っておくことを強くおすすめします。制作会社との契約が終了した場合や、万が一制作会社が事業を停止した場合でも、自社でバックアップを持っていればサイトを守れます。
「制作会社がやってくれているから大丈夫」と安心するのではなく、「万が一の時に自分たちでもデータを持っている」状態を作っておくことが理想です。前述のWordPressプラグインを使えば、制作会社のバックアップとは別に、御社独自のバックアップを自動で取ることができます。
バックアップは「制作会社任せ」と「自社での管理」の二重体制が最も安心です。
バックアップに関するよくある誤解
「レンタルサーバーがバックアップしてくれるから大丈夫」は本当か
多くのレンタルサーバーは自動バックアップ機能を提供していますが、注意点があります。
- サーバー会社のバックアップは「サーバー障害時の復旧用」であり、個別のファイル復元に対応していない場合がある
- バックアップの保持期間が短い(例:過去7日分のみ)場合がある
- 復元に費用がかかるケースがある
- バックアップの対象にデータベースが含まれていない場合がある
レンタルサーバーのバックアップはあくまで「おまけ」と考え、自社でも別途バックアップを取っておくのが安全です。
「サイトはあまり更新しないからバックアップは不要」は危険
更新頻度が低くても、バックアップは必要です。サイバー攻撃やサーバー障害は、サイトの更新頻度に関係なく起こります。「2年前に作ったきりのサイトが、ある日突然改ざんされていた」というケースは珍しくありません。更新しないサイトほどWordPressのバージョンが古いままになりやすく、セキュリティの弱点を突かれるリスクが高まります。
まとめ
WEBサイトのバックアップについて、要点を振り返ります。
- サーバー障害・サイバー攻撃・操作ミスなど、データ消失のリスクは常にある
- バックアップすべきデータは「ファイル」と「データベース」の両方
- バックアップの頻度はサイトの更新頻度に合わせて設定する
- 複数世代のバックアップを保持することが重要
- WordPressならUpdraftPlusなどのプラグインで自動バックアップが可能
- 保存先はサイトと同じサーバーではなく、外部ストレージに保存する
- 制作会社任せにせず、自社でもバックアップを管理する二重体制が理想
バックアップは地味な作業ですが、御社のWEBサイトという大切な資産を守るための生命線です。まだバックアップ体制が整っていない場合は、今日からでも始めてみてください。設定方法がわからない場合や、自社のバックアップ体制に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。