情報設計 中級

情報設計(IA)とは?|WEBサイトの使いやすさを左右する設計思想

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こんな人にオススメの記事

  • WEBサイトのリニューアルを検討している経営者の方
  • 自社サイトの使いにくさに課題を感じている事業責任者の方
  • WEB制作会社に依頼する際に何を重視すべきか知りたい方
  • サイト構造の整理方法を体系的に学びたいWEB担当者の方
  • ユーザー目線のサイト設計に興味がある方

この記事の目次

情報設計(IA)とは何か? ── WEBサイト設計のかなめ

WEBサイトを制作する際、多くの方が「デザインの見た目」や「最新の技術」に注目されます。もちろんそれらも大切な要素ですが、実はサイトの使いやすさや成果を最も大きく左右するのは、情報設計(IA:Information Architecture)という工程です。

情報設計とは、ひと言でいえば「情報を整理し、ユーザーが必要な情報に迷わずたどり着けるようにする設計」のことです。図書館に例えると、膨大な本を「ジャンル」「著者名」「出版年」などのルールで分類し、案内図や検索システムを整備する作業に相当します。

用語メモ

Information Architecture(インフォメーション・アーキテクチャ)とは、情報の構造化・整理・ラベリングを通じて、ユーザーが目的の情報を見つけやすくするための設計手法です。略称は「IA(アイエー)」。WEB制作だけでなく、アプリ開発やサービスデザインでも活用される考え方です。

たとえば、あなたの会社のWEBサイトに訪れたお客様が「サービスの料金を知りたい」と思ったとき、メニューのどこを見ればよいかすぐにわかるでしょうか? 3回以上クリックしないとたどり着けない構造になっていないでしょうか? こうした「情報の見つけやすさ」を設計段階から最適化するのが、情報設計の役割です。

なぜ情報設計が重要なのか ── 3つの理由

理由1:ユーザーの離脱を防ぐ

WEBサイトを訪れたユーザーは、目的の情報が見つからなければ平均して10〜20秒で離脱するといわれています。どれだけ美しいデザインを施しても、どこに何があるかわからないサイトでは、ユーザーはストレスを感じて去ってしまいます。

情報設計がしっかりしていれば、ユーザーは直感的に「次にどこをクリックすればよいか」がわかります。これは離脱率の低下に直結し、結果として問い合わせやお申し込みといったコンバージョン(成果)の向上につながります。

理由2:サイト全体の一貫性を保てる

情報設計なしにサイトを構築すると、ページが増えるにつれて構造がバラバラになりがちです。「サービス紹介」と「事業内容」に似たような情報が重複して掲載されたり、カテゴリの分類基準が曖昧になったりします。

最初の段階でしっかりと情報設計を行うことで、サイト全体に一貫したルールができ、将来のページ追加やコンテンツ更新もスムーズになります。

理由3:SEO(検索エンジン最適化)にも好影響

Googleなどの検索エンジンは、サイトの構造を読み取ってページの重要度を判断しています。論理的で整理された構造は、検索エンジンがサイトの内容を正しく理解する助けになり、検索結果での表示順位にもよい影響を与えます。

SEO対策の基本については、当コラムの別記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

情報設計がもたらす3つのメリット

  • ユーザーが迷わず目的の情報にたどり着ける → 離脱率の低下
  • サイト全体の一貫性が保たれる → 運用・更新がしやすくなる
  • 検索エンジンに正しく評価される → SEO効果の向上

情報設計の4つの柱

情報設計には、大きく分けて4つの構成要素があります。これらは互いに関連し合いながら、サイト全体の使いやすさを形づくります。

1. 組織化システム(Organization Systems)

情報をどのような基準で分類するかを決める仕組みです。たとえば、製造業の企業サイトであれば「製品カテゴリ別」「用途別」「業種別」といった分類軸が考えられます。

分類方法には大きく3つのパターンがあります。

  • 正確な分類:50音順、時系列、地域別など、明確な基準による分類
  • 曖昧な分類:トピック別、タスク別、対象者別など、判断が必要な分類
  • ハイブリッド型:上記を組み合わせた分類

重要なのは、「サイトの運営者が整理しやすい分類」ではなく「ユーザーが探しやすい分類」を選ぶことです。社内の組織図をそのままメニュー構造にしてしまうケースがよく見受けられますが、お客様にとっては部署名よりも「何ができるか」「何を解決してくれるか」のほうがわかりやすいことがほとんどです。

2. ラベリングシステム(Labeling Systems)

メニューやカテゴリ名、ボタンの文言など、情報につける「名前」のことです。ラベリングが適切でないと、ユーザーはクリックする前にそのページの内容を推測できません。

よくある改善例をご紹介します。

  • 「ソリューション」→「お悩み別サービス紹介」
  • 「アバウト」→「私たちについて」
  • 「リソース」→「お役立ち資料」
  • 「コンタクト」→「お問い合わせ・ご相談」

カタカナ語や英語をそのまま使いがちですが、ターゲットとなるお客様にとって一番わかりやすい言葉を選ぶことが大切です。

3. ナビゲーションシステム(Navigation Systems)

サイト内をどのように移動するかを設計する仕組みです。主要なナビゲーションには以下の種類があります。

  • グローバルナビゲーション:全ページ共通で表示されるメインメニュー
  • ローカルナビゲーション:特定のセクション内で表示されるサブメニュー
  • パンくずリスト:現在地を階層的に示すリンク(例:ホーム > サービス > WEB制作)
  • フッターナビゲーション:ページ下部に設置する補助的なリンク群
  • サイト内検索:キーワードで情報を探せる検索機能

用語メモ

パンくずリストとは、童話「ヘンゼルとグレーテル」に由来する名称で、サイト内での現在位置を階層的に表示するナビゲーション要素です。ユーザーが「いま自分がどこにいるか」を把握でき、上位階層へ簡単に戻れるため、使いやすさの向上に貢献します。SEOの観点でも、検索エンジンがサイト構造を理解する手助けになります。

4. 検索システム(Search Systems)

サイト内検索や絞り込み機能のことです。コンテンツが多いサイトでは、ナビゲーションだけでは目的の情報にたどり着きにくくなるため、検索機能が重要な役割を果たします。

特にECサイトや製品情報が豊富な企業サイトでは、「価格帯で絞り込む」「用途で絞り込む」といったフィルタリング機能を設けることで、ユーザーの利便性が大きく向上します。

情報設計の実践手法 ── 5つのステップ

ここからは、実際の制作現場で情報設計をどのように進めるのか、具体的な手法をご紹介します。

ステップ1:ユーザー調査とペルソナ設定

情報設計の出発点は、「誰がこのサイトを使うのか」を明確にすることです。ターゲットとなるユーザーの行動パターンや情報ニーズを把握するために、以下のような調査を行います。

  • ユーザーインタビュー:実際のお客様や見込み顧客に直接話を聞く
  • アクセスログ分析:既存サイトの閲覧データからユーザーの行動傾向を読み取る
  • 競合サイト調査:同業他社のサイト構造を分析し、業界の標準を把握する
  • お問い合わせ内容の分析:お客様からよく聞かれる質問や相談内容を整理する

これらの調査結果をもとに、ペルソナ(典型的なユーザー像)を設定します。たとえば製造業のB2B企業であれば、「購買担当者の鈴木さん(45歳)。上司から新しい部品メーカーを3社比較するよう指示され、スマートフォンで検索している」といった具体的な人物像を描きます。

ステップ2:カードソーティング

カードソーティングは、情報の分類方法をユーザー視点で検証するための手法です。やり方はシンプルで、サイトに掲載する情報を1枚ずつカードに書き出し、ユーザーに自由に分類してもらいます。

カードソーティングの具体的な進め方:

  1. サイトに掲載するコンテンツをリストアップする
  2. 各コンテンツを1枚ずつカード(付箋でもOK)に書く
  3. 5〜8名のテスト参加者を集める
  4. 参加者にカードを自由にグループ分けしてもらう(オープン型)
  5. あるいは、事前に用意したカテゴリにカードを分類してもらう(クローズド型)
  6. 結果を集計し、多くの人に共通する分類パターンを見つける

用語メモ

オープン型とクローズド型:カードソーティングには2つの方法があります。オープン型は参加者がカテゴリ名も自分で決める方法で、新しいサイトの構造を一から考えるときに有効です。クローズド型はあらかじめカテゴリを用意しておき、そこにカードを振り分けてもらう方法で、既存のサイト構造が適切かを検証するときに向いています。

最近ではOptimalSort やUXtweak などのオンラインツールを使って、リモートでカードソーティングを実施することもできます。対面で行うのが難しい場合でも、十分に有効なデータが得られます。

ステップ3:ユーザーフローの設計

ユーザーフローとは、ユーザーがサイトに訪れてから目的を達成する(問い合わせをする、資料をダウンロードするなど)までの一連の流れを図にしたものです。

代表的なユーザーフローの例(BtoB企業サイトの場合):

  1. Google検索で「群馬 ○○ メーカー」と検索
  2. 検索結果からトップページ(またはサービスページ)に流入
  3. サービス内容を確認 →「この会社は何ができるのか」を理解
  4. 実績・事例ページで信頼感を得る →「ちゃんとした会社だ」と確認
  5. 会社概要で所在地や規模を確認 →「取引先として問題ないか」を判断
  6. 問い合わせフォームから連絡 → コンバージョン達成

このフローを描くことで、「各ステップでユーザーに何を見せるべきか」「どこでつまずきやすいか」が見えてきます。たとえば、ステップ3からステップ4への遷移がスムーズでなければ、サービスページに「実績を見る」へのリンクボタンを設置するといった改善策を打てます。

ステップ4:サイトマップの作成

ユーザーフローとカードソーティングの結果をもとに、サイト全体の構造を一覧化したものがサイトマップです。サイトマップは「サイトの設計図」であり、制作チーム全員の共通認識を揃えるために不可欠な資料です。

サイトマップ作成のポイント:

  • 階層は3階層までを基本とする(深すぎるとユーザーが迷う)
  • 重要なページほど浅い階層に配置する
  • 各ページの目的と役割を明記する
  • ページ間のリンク関係も矢印などで示す
  • 優先度の高いコンテンツが少ないクリック数で到達できるようにする

「3クリックルール」を意識しましょう
ユーザーが求める情報に3クリック以内でたどり着けることが理想とされています。必ずしも3クリック以内でなければならないわけではありませんが、「なるべく少ないステップで目的を達成できる構造」を意識することが大切です。

ステップ5:ワイヤーフレームでの検証

サイトマップができたら、主要なページのワイヤーフレーム(レイアウトの骨組み図)を作成します。ワイヤーフレームは、色やデザインの装飾を省いた「情報の配置図」です。

ワイヤーフレームの段階でチェックすべきことは以下のとおりです。

  • 各ページに必要な情報がすべて含まれているか
  • 情報の優先度に応じた配置になっているか(重要な情報ほど上部に)
  • 次のアクションへの導線(ボタンやリンク)が適切に配置されているか
  • スマートフォンで見たときにも使いやすいか

この段階でユーザーテスト(実際にターゲットに近い方に操作してもらうテスト)を行えると、本格的なデザインに進む前に問題点を発見でき、手戻りのリスクを大幅に減らせます。

サイト構造の3つの基本パターン

サイト全体の構造には、いくつかの代表的なパターンがあります。自社のサイトにはどのパターンが合うか、コンテンツの量やユーザーの利用目的に応じて選びましょう。

階層型(ツリー構造)

もっとも一般的な構造です。トップページを頂点に、カテゴリ → サブカテゴリ → 個別ページと枝分かれしていきます。企業サイトやコーポレートサイトの多くがこの構造を採用しています。

向いているサイト:コーポレートサイト、サービス紹介サイト、中規模以上のサイト

直線型(リニア構造)

ユーザーを順番に案内する構造です。ランディングページ(LP)や、ステップ形式の申し込みフォームなどに適しています。

向いているサイト:LP(ランディングページ)、チュートリアル、ECサイトの購入フロー

ウェブ型(ネットワーク構造)

ページ同士が網目状に結びつく構造です。ブログやメディアサイトでは、関連記事リンクなどを通じてこの構造が自然に形成されます。

向いているサイト:ブログ、メディアサイト、Wiki型のナレッジサイト

実際のサイトは「ハイブリッド型」が主流
実際の企業サイトでは、メイン構造は階層型にしつつ、ブログ部分はウェブ型、問い合わせフローは直線型、というようにハイブリッドで設計するのが一般的です。大切なのは、ユーザーの目的に合った構造を適材適所で使い分けることです。

情報設計でよくある失敗と対策

制作の現場でよく見かける失敗パターンと、その対策をご紹介します。

失敗1:社内の組織図をそのままサイト構造にしてしまう

「営業部」「製造部」「管理部」といった部署名をそのままメニューにしているケースです。お客様にとっては「どの部署に何を相談すればよいか」はわかりません。「何をしてくれるか」「どんな課題を解決できるか」という視点でメニューを構成しましょう。

失敗2:情報を詰め込みすぎる

「せっかくだから全部載せておこう」と情報を詰め込みすぎると、かえって何が重要かわからなくなります。情報の優先順位を決め、重要でない情報は思い切って省くことも情報設計の重要な判断です。

失敗3:スマートフォンでの閲覧を考慮していない

現在、WEBサイトへのアクセスの60〜70%はスマートフォンからです。PCでは問題ない構造でも、小さい画面ではメニューが使いにくかったり、情報量が多すぎて読みにくかったりすることがあります。モバイルファーストの視点で情報設計を行いましょう。

失敗4:ユーザーテストをしない

制作者やサイトオーナーは自社のことをよく知っているため、つい「これでわかるだろう」と思いがちです。しかし、初めてサイトを訪れるユーザーの感覚は、想像以上に異なります。可能であれば、社外の方に実際にサイトを操作してもらい、率直なフィードバックを得ることをおすすめします。

WEB制作会社に依頼するときのチェックポイント

WEB制作会社を選ぶ際、情報設計をどの程度重視しているかは大きな判断材料になります。以下のポイントを確認してみてください。

  • 制作プロセスに「情報設計」の工程が明確に含まれているか
  • サイトマップやワイヤーフレームを制作前に提示してくれるか
  • ユーザー調査やヒアリングに十分な時間をかけているか
  • 「なぜこの構造にするのか」を論理的に説明してくれるか
  • 公開後の改善(アクセス解析に基づく構造の見直し)まで視野に入れているか

WEB制作会社の選び方については、当コラムの別記事でも詳しくご紹介していますので、あわせてご確認いただければ幸いです。

情報設計とWEBマーケティングのつながり

情報設計は、WEBマーケティングの成果にも直結します。いくら広告費をかけてサイトに集客しても、サイトの情報構造が悪ければコンバージョンにつながりません。

たとえば、リスティング広告(検索連動型広告)からサービスページに誘導した場合、そのページから「料金」「実績」「問い合わせ」へスムーズに遷移できる構造になっているかどうかで、成果は大きく変わります。

公開後のWEBマーケティングの進め方について知りたい方は、「ホームページは作って終わりではない」の記事もぜひご覧ください。

まとめ:情報設計はWEBサイト成功の土台

  • 情報設計(IA)は、ユーザーが必要な情報に迷わずたどり着けるようにする設計思想
  • 4つの柱(組織化・ラベリング・ナビゲーション・検索)を意識する
  • ユーザー調査 → カードソーティング → ユーザーフロー → サイトマップ → ワイヤーフレームの順で進める
  • 社内視点ではなく、お客様の視点で情報を整理することが最も重要
  • WEB制作会社選びでも、情報設計への取り組み姿勢は重要な判断基準

私たちは、WEB制作において情報設計をもっとも重要なプロセスのひとつと位置づけています。「見た目」の前に「構造」を整えることで、ユーザーにとって本当に使いやすく、成果につながるサイトが生まれます。サイトの使いやすさにお悩みの方は、ぜひmotiveまでお気軽にご相談ください。

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