情報設計 中級

ペルソナ設計とカスタマージャーニー|WEB戦略の起点となる顧客理解

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こんな人にオススメの記事

  • ホームページのターゲットが漠然としていて絞り込めていない
  • 「誰に向けて作っているのか」がサイトから伝わらない
  • 制作会社から「ペルソナを考えましょう」と言われたが方法がわからない
  • お客様の行動パターンを把握してサイト改善に活かしたい
  • リニューアルの方向性を決める根拠がほしい

この記事の目次

WEBサイトを制作する際、「誰に向けて作るのか」が明確でないと、情報の優先順位が定まらず、結果として「誰にも刺さらない」サイトが出来上がってしまいます。「ターゲットは30〜50代の男性経営者」程度の設定では、まだまだ漠然としすぎています。

より具体的な顧客像を描き、その人がどのような行動を経て御社に出会い、お問い合わせに至るのかを整理する手法が、ペルソナ設計カスタマージャーニーです。本記事では、この2つの考え方と作成方法、そしてWEBサイト設計への活用法をわかりやすくお伝えします。

ペルソナとは何か|「たった一人の理想のお客様」

ペルソナの基本的な意味

ペルソナとは、御社の商品やサービスを利用する理想的な顧客の具体的な人物像のことです。年齢、性別、職業、役職、家族構成、趣味、悩み、情報収集の方法など、まるで実在する一人の人物のように詳細に描きます。

「ターゲット」が「30〜50代の男性経営者」という幅広い属性を指すのに対し、ペルソナは「群馬県前橋市で従業員15名の製造業を営む45歳の鈴木社長。長男が大学に入学し、事業承継を少しずつ考え始めている。IT にはあまり詳しくないが、最近はスマートフォンでの検索をよく使う」というレベルまで具体化します。

用語メモ

ペルソナ(Persona):マーケティングにおいて、自社の典型的な顧客を具体的な一人の人物として描いた仮想の人物像。ラテン語で「仮面」を意味する言葉に由来します。ターゲットよりもはるかに詳細で、意思決定や行動の背景まで描写します。

なぜペルソナが必要なのか

「そこまで詳しく設定する必要があるの?」と思われるかもしれません。しかし、ペルソナを設定することには明確なメリットがあります。

まず、サイトの方向性がブレなくなります。「この情報はペルソナの鈴木さんが求めているか?」という判断基準ができるため、不要な情報を排除し、必要な情報を優先できます。

次に、関係者間の認識が統一されます。「うちのターゲット」と言ったとき、社長と営業担当と制作会社で異なるイメージを持っていることがあります。ペルソナを文書化して共有すれば、全員が同じ人物像を基準に考えられます。

さらに、コンテンツの方向性が決めやすくなります。「鈴木さんならどんな言葉が響くか」「鈴木さんはどんな不安を感じるか」と考えることで、具体的で説得力のある文章が書けるようになります。

ペルソナは「一人に絞る」のが基本

「うちのお客様はいろいろなタイプがいるから、一人には絞れない」というお声もよく聞きます。たしかに実際の顧客層は多様ですが、ペルソナを「全員に当てはまるように」作ると、結局誰にも響かない内容になります。

まずは最も大切にしたい顧客像を一人に絞りましょう。売上への貢献が最も大きい層、今後増やしていきたい層、またはリピート率が高い層――こうした観点で優先順位をつけ、一つのペルソナを完成させます。必要であれば、優先度を変えた2つ目、3つ目のペルソナを後から追加します。

「全員に好かれるサイト」を目指すと「誰にも好かれないサイト」になりがちです。「たった一人の理想のお客様」を明確にすることが、結果的に多くの方に響くサイトを作る近道です。

ペルソナの作り方|5つのステップ

ステップ1:既存のお客様のデータを集める

ペルソナは想像だけで作るものではありません。既存のお客様の情報をできるだけ集めることが出発点です。

過去の顧問先・顧客のリストから、「御社にとって理想的な顧客」の共通点を探します。業種、規模、地域、問い合わせの経緯、どんな悩みを持っていたか、決め手は何だったか――こうしたデータが、ペルソナの骨格になります。

もし可能であれば、既存のお客様に直接ヒアリングするのが最も効果的です。「最初にどんな悩みを持っていたか」「どうやって弊社を見つけたか」「決め手は何だったか」を聞くだけで、貴重な情報が得られます。

ステップ2:基本属性を設定する

データをもとに、ペルソナの基本的な属性を設定します。名前(架空でOK)、年齢、性別、居住地、職業・役職、家族構成、年収の目安、趣味・関心事などを具体的に書き出します。

名前をつけることで、議論の中で「このペルソナは…」ではなく「鈴木さんは…」と呼べるようになり、より具体的な検討がしやすくなります。

ステップ3:課題・悩み・ニーズを掘り下げる

ペルソナが抱える課題、悩み、ニーズを具体的に書き出します。これがWEBサイトのコンテンツ設計に直結する最も重要な部分です。

表面的な悩み(「ホームページをリニューアルしたい」)だけでなく、その背景にある本質的な課題(「新規のお客様が減っていて、何か手を打たなければという焦りがある」)まで掘り下げることが大切です。

ステップ4:情報収集の行動パターンを整理する

ペルソナが情報を集めるとき、どのような手段を使うかを整理します。「Google検索でまず調べる」「知人の経営者に相談する」「業界のセミナーに参加する」「SNSで情報収集する」など、情報収集の手段と順番を描きます。

この情報は、WEB集客の戦略(どのチャネルに力を入れるか)や、サイトの入口ページの設計に直結します。

ステップ5:ペルソナシートにまとめる

ステップ1〜4で集めた情報を、一枚のシート(ペルソナシート)にまとめます。イラストや写真(イメージ写真でOK)を添えると、より「実在感」が増します。

完成したペルソナシートは、社内の関係者と制作会社に共有し、全員が同じ顧客像を基準にサイト制作を進められるようにしましょう。

カスタマージャーニーとは何か

お客様の「旅路」を可視化する

カスタマージャーニーとは、お客様が商品やサービスを知ってから購入(依頼)するまでの一連の行動と心理の変化を「旅(ジャーニー)」にたとえて可視化したものです。

ペルソナが「どんな人か」を描くものだとすれば、カスタマージャーニーは「その人がどんな行動をたどるか」を描くものです。この2つはセットで考えることで、最大の効果を発揮します。

用語メモ

カスタマージャーニー(Customer Journey):顧客が商品・サービスを認知してから購入に至るまでの行動・心理の変化を時系列で整理したもの。これを図式化したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。

カスタマージャーニーの代表的なフェーズ

カスタマージャーニーは一般的に、以下のようなフェーズ(段階)に分けて整理します。

認知フェーズ:課題や悩みに気づき、解決策を探し始める段階。「ホームページが古くなってきたな。そろそろリニューアルを考えた方がいいかも」

情報収集フェーズ:具体的な情報を集め、選択肢を広げる段階。「ホームページ リニューアル 費用」「WEB制作 群馬」などで検索する。

比較検討フェーズ:複数の候補を比較し、絞り込む段階。制作会社のサイトを見比べ、実績や価格帯を確認する。

意思決定フェーズ:最終的に依頼先を決定する段階。お問い合わせをして、見積もりを取得し、社内で検討する。

利用・推奨フェーズ:サービスを利用し、満足すれば他者に推奨する段階。

各フェーズでの顧客の行動と感情を整理する

カスタマージャーニーマップでは、各フェーズにおいて「行動」「思考」「感情」「タッチポイント(接点)」を整理します。

たとえば情報収集フェーズでは、行動は「Google検索」「制作会社のサイト閲覧」、思考は「費用相場はどのくらいだろう」「地元の会社がいいかな」、感情は「不安(騙されないか心配)」「期待(いいサイトになるといいな)」、タッチポイントは「検索結果」「制作会社のブログ記事」「SNSの口コミ」といった具合です。

カスタマージャーニーマップの作り方

準備:ペルソナと情報を揃える

カスタマージャーニーマップを作成する前に、まずペルソナを完成させておきます。ペルソナが定まっていない状態で作ると、行動パターンが漠然としてしまいます。

また、営業担当者や顧客対応のスタッフに「お客様はどんな経緯でうちに来るのか」をヒアリングしておくと、リアリティのあるジャーニーが描けます。

フェーズごとの情報を書き出す

大きな紙やホワイトボード(オンラインツールでも可)を使い、横軸にフェーズ(認知→情報収集→比較検討→意思決定→利用)、縦軸に「行動」「思考・感情」「タッチポイント」「課題・不安」を配置した表を作ります。

各マスに、ペルソナの行動や心理を付箋やメモで書き込んでいきます。最初は完璧を目指さず、思いつくままに書き出すのがコツです。社内のメンバー数人で一緒に作ると、一人では気づかない視点が出てきます。

課題とチャンスを特定する

書き出した情報を眺めると、ペルソナが「困りそうなポイント」や「離脱しそうなポイント」が見えてきます。ここが、WEBサイトで解決すべき課題であり、改善のチャンスです。

たとえば、比較検討フェーズで「費用感がわからないから不安」という課題が見つかれば、料金の目安を掲載したページを用意する。情報収集フェーズで「そもそもリニューアルが必要かどうかわからない」という不安があれば、判断基準を解説したブログ記事を作る。

このように、カスタマージャーニーマップは「サイトに何が必要か」を教えてくれる設計図になるのです。

カスタマージャーニーマップは一度作って終わりではなく、実際のお客様の反応を見ながら定期的にアップデートしましょう。お客様の行動パターンは時代とともに変化します。

WEBサイト設計への活用方法

ページ構成とコンテンツの優先順位

カスタマージャーニーマップが完成したら、各フェーズの顧客ニーズに対応するページやコンテンツを設計します。

認知フェーズ向けにはSEO対策を意識したブログ記事、情報収集フェーズ向けにはサービスの詳細ページと料金の目安、比較検討フェーズ向けには事例紹介やお客様の声、意思決定フェーズ向けにはお問い合わせフォームと無料相談の案内――このように、各フェーズのニーズに対応するコンテンツを漏れなく用意します。

コンテンツのトーンとメッセージ

ペルソナの属性に合わせて、文章のトーン(文体や雰囲気)を調整します。IT企業の若い担当者向けであればカジュアルで端的な表現、経営者向けであれば誠実で丁寧な表現が適しています。

また、ペルソナの課題や不安に直接応えるメッセージを、サイトの目立つ場所に配置します。「初めてホームページを作るから不安」というペルソナの感情に対して、「初めての方でも安心。専任担当者が丁寧にサポートします」というメッセージがファーストビューにあれば、ペルソナの心に響きます。

制作会社への共有と活用

ペルソナシートとカスタマージャーニーマップは、制作会社に共有する最も重要な資料の一つです。「こういうお客様に、こういう行動をとってもらいたい」という情報が共有されていれば、制作会社はそれに最適化されたサイトを設計できます。

打ち合わせの際にペルソナとカスタマージャーニーを一緒に確認しながら、「このフェーズのお客様にはどんなコンテンツが必要か」を議論することで、戦略的なサイト設計が実現します。

まとめ|顧客理解がWEBサイトの品質を決める

ペルソナ設計とカスタマージャーニーは、WEB戦略の最も基本的でありながら、最も効果的なフレームワークです。「誰に、何を、どのタイミングで伝えるか」を明確にすることで、サイト全体の方向性がブレなくなります。

  • ペルソナとは、理想の顧客を具体的な一人の人物像として描いたもの
  • 既存の顧客データとヒアリングをもとに、リアリティのあるペルソナを作成する
  • カスタマージャーニーは、顧客が認知から購入に至るまでの行動と心理を可視化したもの
  • 各フェーズの「課題」と「不安」を特定し、それに応えるコンテンツを用意する
  • ペルソナとカスタマージャーニーは制作会社と共有し、サイト設計に活かす
  • 作って終わりではなく、定期的に見直してアップデートする

「お客様のことをどれだけ深く理解しているか」が、WEBサイトの品質を根本的に左右します。ペルソナ設計やカスタマージャーニーの作成でお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。一緒に御社の理想のお客様像を描くお手伝いをいたします。

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