WEBサイトを制作する際に、最初に取りかかるべき作業が「サイトマップ」の作成です。サイトマップとは、ホームページ全体のページ構成を一覧にした「設計図」のようなもの。家を建てるときに間取り図が必要なように、WEBサイトにもページ構成の全体像を可視化する工程が欠かせません。
しかし、「サイトマップ」という言葉は、実は場面によって指すものが異なります。制作会社との打ち合わせで「サイトマップ」と言ったとき、何を指しているのかがかみ合わないこともあるのです。この記事では、サイトマップの種類の違いから具体的な作り方、業種別の構成例まで、WEBサイト設計の第一歩を丁寧に解説します。
「サイトマップ」には3つの種類がある
まず押さえておきたいのは、「サイトマップ」という言葉が指す3つの異なる意味です。これを理解しておくと、制作会社とのコミュニケーションがスムーズになります。
① 設計用サイトマップ(構成図)
WEBサイトの全ページを階層構造で表現した図のことです。制作の企画・設計段階で使われるもので、ツリー図(樹形図)で表現されることが多いです。トップページを頂点に、その下に「会社概要」「サービス紹介」「お問い合わせ」などの各ページがぶら下がる形になります。
この記事で主に解説するのは、この設計用サイトマップです。
② HTMLサイトマップ
サイト内の全ページへのリンクを一覧にしたページのことです。ホームページのフッター付近に「サイトマップ」というリンクが設置されているのを見たことがあるかもしれません。これはサイトを訪れたユーザーが、目的のページを見つけやすくするためのものです。
③ XMLサイトマップ
Googleなどの検索エンジンに対して、サイト内のページ情報を伝えるためのファイルです。ユーザーが直接目にすることはほとんどありません。技術的なファイルなので、通常は制作会社が作成・設定してくれます。
用語メモ:XMLサイトマップ
XML(Extensible Markup Language)という形式で記述されたサイトの構造データ。検索エンジンのクローラー(巡回ロボット)がサイトを効率的に読み取るために使われます。SEO対策の基本的な施策のひとつです。
制作会社と打ち合わせで「サイトマップ」の話が出たら、「設計用の構成図の話ですか?」と確認しておくと、認識のズレを防げます。
設計用サイトマップを作る目的
設計用サイトマップを作成する目的は、大きく3つあります。
目的①:サイト全体の構造を可視化する
ホームページの規模が大きくなるほど、「どんなページがあるのか」「ページ同士がどういう関係にあるのか」が見えにくくなります。サイトマップを作成することで、全体像を俯瞰できるようになり、必要なページの抜け漏れに気づいたり、不要なページを整理したりできます。
目的②:制作チーム内の認識を合わせる
サイトマップは、お客さまと制作会社の「共通言語」になります。「トップページから2階層目に『サービス紹介』を置いて、その下に各サービスの詳細ページを設ける」といった構成を、言葉だけでなく図で共有できるため、認識のズレを防ぎやすくなります。
目的③:見積もりの根拠を明確にする
WEBサイトの制作費用は、ページ数やページの種類によって大きく変わります。サイトマップでページ構成を明確にすることで、見積もりの根拠がはっきりし、「思っていたより高い(安い)」という齟齬を防ぐことができます。制作会社との打ち合わせの準備としても非常に有効です。
サイトマップの作り方:5つのステップ
それでは、設計用サイトマップの具体的な作り方を5つのステップで解説します。
ステップ1:サイトの目的とターゲットを確認する
サイトマップを作る前に、まず「このサイトは何のためにあるのか」「誰に見てもらいたいのか」を明確にしましょう。目的によって必要なページは変わります。
たとえば、問い合わせの獲得が目的なら「サービス紹介」「事例紹介」「お問い合わせ」のページが重要になりますし、採用が目的なら「社員紹介」「職種紹介」「応募フォーム」が必要になります。
ステップ2:必要なページを洗い出す
目的とターゲットを踏まえて、サイトに必要なページをすべて書き出します。この段階では「多すぎるかな?」と思っても、とにかく候補をリストアップしてください。あとから整理・統合できます。
洗い出しの方法としては、以下が効果的です。
- 競合他社のサイトを参考にして、自社に必要なページを拾い上げる
- お客さまからよく聞かれる質問をページ化できないか考える
- 営業資料やパンフレットの内容をWEBページに変換する視点で見る
- 社内の各部門(営業・人事・経営企画など)にヒアリングする
ステップ3:ページをグルーピングする
リストアップしたページを、関連性のあるグループにまとめます。たとえば以下のようなカテゴリーに分けられるでしょう。
- 会社情報系:会社概要、代表挨拶、沿革、アクセス
- サービス系:サービス一覧、各サービス詳細、料金
- 実績系:制作実績一覧、事例詳細
- コンテンツ系:お知らせ、ブログ、コラム
- コンバージョン系:お問い合わせ、資料請求、見積もり依頼
- 採用系:採用情報、社員紹介、募集要項、エントリーフォーム
用語メモ:コンバージョン
WEBサイトにおける「成果」のこと。サイトの目的に応じて、問い合わせの送信、資料のダウンロード、商品の購入などがコンバージョンとして設定されます。略して「CV」とも呼ばれます。
ステップ4:階層構造を設計する
グルーピングしたページを、階層構造(ツリー構造)に配置していきます。ここで意識すべきは「3クリック以内」の原則です。ユーザーがトップページから目的のページにたどり着くまでに、3回以上クリック(タップ)が必要な構造は、使いにくいサイトになりがちです。
一般的な中小企業サイトであれば、以下のような階層構造が基本です。
- 第1階層:トップページ
- 第2階層:主要カテゴリーページ(会社概要、サービス、お知らせなど)
- 第3階層:詳細ページ(各サービスの詳細、お知らせ記事など)
階層が深すぎると、ユーザーが迷子になりやすくなります。情報量が多い場合でも、なるべく3階層以内に収まるよう工夫しましょう。
ステップ5:ユーザーの動線を確認する
サイトマップが完成したら、「ユーザーがどのようにページを移動するか」をシミュレーションしてみましょう。これを「ユーザーフロー」と呼びます。
たとえば「サービスに興味を持った見込み客」の動線を想定すると、以下のようになるかもしれません。
- 検索エンジンから「サービス紹介」ページにたどり着く
- 関連する「事例紹介」を見て信頼感を持つ
- 「会社概要」で企業の信頼性を確認する
- 「お問い合わせ」から連絡する
この動線がスムーズにつながるように、ページ間のリンク設計も考慮することが大切です。サイトマップは「地図」であり、ユーザーフローは「旅のルート」。両方をセットで設計することで、成果につながるサイトが生まれます。
サイトマップは「作って終わり」ではなく、ユーザーの目線でシミュレーションしてみることが大切です。自分がそのサイトの訪問者だったら、迷わずに目的のページにたどり着けるかを確認しましょう。
業種別のサイトマップ例
「自社のサイトにはどんなページが必要なんだろう?」という疑問にお応えして、業種別のサイトマップ例をご紹介します。あくまで一般的な構成例ですので、自社の事業内容や目的に合わせてカスタマイズしてください。
製造業の場合
- トップページ
- 会社概要(代表挨拶、沿革、設備紹介、アクセス)
- 事業内容 / 技術紹介(加工技術、対応素材、品質管理)
- 製品紹介(カテゴリ別一覧、製品詳細)
- 設備一覧
- お知らせ
- よくある質問
- お問い合わせ / お見積もり依頼
- 採用情報
- プライバシーポリシー
製造業のサイトでは、「どんな技術があるか」「どんな設備を持っているか」を具体的に伝えることが重要です。BtoB(企業間取引)が中心の場合、技術力や品質管理体制をアピールするページが信頼獲得につながります。
サービス業(士業・コンサルなど)の場合
- トップページ
- サービス紹介(各サービスの詳細ページ)
- 料金プラン
- ご利用の流れ
- お客さまの声 / 解決事例
- スタッフ紹介
- 会社概要(代表プロフィール、アクセス)
- コラム / お役立ち情報
- お問い合わせ / 無料相談予約
- プライバシーポリシー
サービス業では「何をしてくれるのか」と「信頼できるか」が訪問者の最大の関心事です。料金の目安やご利用の流れを明示し、不安を解消するページ構成が効果的です。
飲食・小売業の場合
- トップページ
- メニュー / 商品紹介
- こだわり / コンセプト
- 店舗情報(アクセス、営業時間、地図)
- お知らせ / イベント情報
- ギャラリー(店内写真、料理写真など)
- 予約・お問い合わせ
- 求人情報
- プライバシーポリシー
飲食・小売業では、写真の力が非常に大きいです。メニューや商品の魅力をビジュアルで伝えるページ構成が肝になります。また、地域密着のビジネスでは、Googleビジネスプロフィールとの連携も含めた集客導線の設計が効果的です。
用語メモ:BtoB / BtoC
BtoB(Business to Business)は企業間取引、BtoC(Business to Consumer)は企業と消費者間の取引のこと。サイトのターゲットがBtoBかBtoCかによって、掲載すべき情報やデザインの方向性が大きく変わります。
サイトマップ作成のよくある失敗
サイトマップの作成で陥りがちな失敗パターンを紹介します。これらを知っておくことで、より質の高いサイト設計が可能になります。
失敗①:自社都合でページを分けすぎる
社内の組織構造をそのままサイトマップに反映してしまうケースです。「第一営業部のページ」「第二営業部のページ」のように部門別にページを分けても、訪問者にとっては意味がわかりません。あくまでもユーザーの視点で「何を知りたいか」を基準にページを設計しましょう。
失敗②:ページ数を増やしすぎる
「たくさんページがあったほうが立派に見える」と考えて、内容の薄いページを大量に作ってしまうケース。ページ数が多いことが必ずしも良いわけではありません。検索エンジンの評価においても、薄い内容のページが多いサイトはマイナスになることがあります。質の高いコンテンツを適切なページ数で提供することが大切です。
失敗③:コンバージョンへの動線を忘れる
きれいなサイトマップを作ったものの、「お問い合わせ」や「資料請求」への導線設計が抜けているケース。サイトの最終目的は成果(コンバージョン)を生み出すことです。すべてのページから自然にコンバージョンページへたどり着ける動線を意識しましょう。
サイトマップ作成に使えるツール
サイトマップは手書きでも作れますが、修正のしやすさを考えるとデジタルツールの利用がおすすめです。
- PowerPoint / Keynote:多くの方が使い慣れているため、手軽に作成できます。図形を配置してツリー構造を表現します
- Excel / Googleスプレッドシート:ページ一覧を表形式で管理したい場合に便利。ページ名・URL・概要・担当者などを列で管理できます
- XMind / MindMeister:マインドマップツールを使うと、階層構造を直感的に表現できます。アイデアの洗い出しにも向いています
- Figma / Miro:デザインツールやホワイトボードツールは、見た目にもわかりやすいサイトマップを作成できます。制作会社と共同編集できるのも利点です
制作会社に依頼する場合は、自社で正式なサイトマップを作成する必要はありません。ページの候補一覧を箇条書きにしたメモや、手書きのラフスケッチでも十分です。それを元に、制作会社が整ったサイトマップに仕上げてくれます。
まとめ:サイトマップはWEBサイト成功の土台
サイトマップの作成は、地味な作業に思えるかもしれません。しかし、この工程をおろそかにすると、デザインやコーディングの段階で「あのページが足りない」「この構成では使いにくい」といった問題が発生し、手戻りが増えてしまいます。
逆に、しっかりとしたサイトマップを作っておけば、制作プロジェクト全体がスムーズに進みます。見積もりの精度も上がり、「完成してみたら思っていたのと違う」という失敗も防げるのです。
サイトマップの作成に不安がある場合は、制作会社のヒアリングの場で相談してみてください。経験豊富な制作会社であれば、御社の事業内容や目的をヒアリングした上で、最適なサイト構成を一緒に考えてくれるはずです。企業のらしさを伝えるデザインも、このサイトマップという土台の上に成り立っています。