「ホームページはあるけれど、なんだかしっくりこない」「きれいなサイトなのに、問い合わせが来ない」「自社の良さがお客さまに伝わっていない気がする」――こうした漠然とした違和感を抱えている経営者の方は多くいらっしゃいます。
その違和感の正体は、WEBサイトに”らしさ”が足りていないことかもしれません。”らしさ”とは、その企業ならではの価値観や姿勢のこと。それがサイトに反映されていないと、どれだけデザインが洗練されていても、訪問者の心には響きません。
この記事では、WEBサイトで”らしさ”が伝わらない5つの原因を掘り下げ、それぞれの具体的な改善方法をお伝えします。
原因1:テンプレートに”はめ込んだ”デザインになっている
“らしさ”が伝わらないサイトに最も多い原因が、テンプレート的なデザインに企業情報をそのまま流し込んでいるケースです。
なぜテンプレートでは”らしさ”が出にくいのか
WEBサイトのテンプレート(あらかじめ用意されたデザインの型)は、どの業種にも使えるように汎用的に作られています。それ自体は悪いことではありません。しかし、テンプレートのレイアウトに社名、写真、テキストをはめ込んだだけでは、「看板だけ架け替えた」ような印象になってしまいます。
たとえば、地域密着型の工務店と、先端技術を強みとするIT企業では、伝えるべき”らしさ”はまったく異なるはずです。にもかかわらず、同じようなレイアウト、同じようなトーンのサイトになっていては、訪問者に「この会社ならでは」の印象を残すことはできません。
改善方法
テンプレートを使うこと自体が問題なのではありません。大切なのは、テンプレートの枠に収まらない「自社だけの要素」をどう組み込むかです。
- トップページのメインビジュアルには、必ずオリジナルの写真やメッセージを配置する
- 配色やフォントを自社の雰囲気に合わせてカスタマイズする
- テンプレートの構成に縛られず、「伝えたいこと」を起点にコンテンツを設計する
- フリー素材の写真をできるだけ自社で撮影した写真に置き換える
用語メモ
「メインビジュアル」とは、WEBサイトを開いたときに画面いっぱいに表示される、最初の大きな画像やスライドショーのことです。サイトの第一印象を大きく左右するため、特に力を入れたい部分です。
原因2:「何でもできます」が”何も伝えていない”
2つ目の原因は、サイトに掲載している情報が広く浅くなりすぎていることです。
全方位にアピールしようとすると、誰にも届かない
「幅広い業種に対応」「どんなご要望にもお応えします」「ワンストップで何でもお任せ」――こうしたメッセージは、一見すると頼もしく聞こえますが、実は訪問者にとっては「結局、何が得意な会社なの?」という疑問を残してしまいがちです。
人は、「何でもできます」という会社よりも、「これが得意です」と明言している会社のほうに信頼感を持ちます。なぜなら、特定の分野に自信を持っている姿勢が”らしさ”として伝わるからです。
改善方法
“何でもできる”ことは内心の自信として持ちつつ、WEBサイト上では「特に力を入れている分野」「最も得意とする領域」にフォーカスして伝えましょう。
- トップページでは、最も伝えたい強みを1つに絞ってメッセージにする
- サービス一覧は全部を同じ比重で並べるのではなく、主力サービスを大きく目立たせる
- 「どんなお客さまに最も喜ばれているか」を軸にコンテンツを構成する
- 事例紹介は、自社が最も得意とする分野のものを優先的に掲載する
“らしさ”を伝えるには「捨てる勇気」も必要です。何を伝えるかと同時に、「何を伝えないか」を決めることが、メッセージの強さにつながります。
原因3:「きれいな言葉」が並んでいるだけ
3つ目の原因は、サイトに使われている言葉が一般的・抽象的すぎることです。
誰にでも言えるフレーズでは共感は生まれない
「お客さまの笑顔のために」「地域社会への貢献」「最高の品質を追求」――こうしたフレーズは耳障りが良いですが、具体性がないため、読む人の心に残りにくいのが実情です。どの企業のサイトにも同じようなフレーズが並んでいると、訪問者は「また同じようなことを言っている」と感じてスルーしてしまいます。
改善方法
抽象的なフレーズを「具体的なエピソード」や「自社ならではの表現」に置き換えましょう。
【ビフォー】
「お客さま第一の姿勢で、最高のサービスをご提供いたします」
【アフター】
「納品後に『ここ、もう少しこうしたい』と言われたとき、私たちは嬉しくなります。仕事が終わった後も気軽に声をかけてもらえる関係でありたい。それが、私たちの考える”お客さま第一”です」
アフターの文章では、具体的な場面と、それに対する自社の姿勢が語られています。同じ「お客さま第一」というメッセージでも、伝わり方がまったく違うことがわかるのではないでしょうか。
- 理念やビジョンには「なぜそう考えるのか」のエピソードを添える
- サービス説明には「実際にあった事例」を交えて具体化する
- 代表メッセージは「自分の言葉」で語り直す
- 「〇〇を追求」のような抽象表現は、「具体的に何をしているか」に書き換える
“らしさ”を言葉で表現する方法について詳しく知りたい方は、”らしさ”をチカラに変えるWEBサイトの作り方についての記事もあわせてご覧ください。
原因4:「見せたい情報」と「見たい情報」がずれている
4つ目の原因は、企業側が伝えたい情報と、お客さまが知りたい情報にギャップがあることです。
自分目線のサイトになっていないか
企業のWEBサイトは、どうしても「自社が伝えたいこと」中心の構成になりがちです。自社の歴史、保有する設備、受賞歴、社長の経歴……。これらは企業にとって誇りであり、伝えたい情報ですが、初めてサイトを訪れるお客さまが最も知りたい情報とは限りません。
初めて御社のサイトを訪れるお客さまが知りたいのは、多くの場合こうしたことです。
- この会社は自分の悩みを解決してくれるのか
- 費用はどのくらいかかるのか
- どんな実績があるのか(自分と似た状況の事例はあるか)
- この会社はどんな人たちなのか(信頼できるか)
- 問い合わせしたらどんな対応をしてくれるのか
改善方法
自社目線とお客さま目線のバランスを取るには、以下の工夫が有効です。
- トップページの構成を「お客さまの悩み → 解決策の提示 → 実績・信頼の裏付け → 問い合わせ」という流れにする
- 「よくあるご質問」ページを充実させ、お客さまの不安を先回りして解消する
- 料金の目安や参考価格を可能な範囲で掲載する(詳細は要相談でもOK)
- 事例紹介は、お客さまの課題を起点にしたストーリー形式で書く
- 問い合わせ後の流れ(どんなステップで進むのか)を明示する
用語メモ
WEBサイトの構成を考えるとき、「ペルソナ」を設定する方法があります。ペルソナとは、自社の理想的なお客さま像を具体的に描いたもの。年齢、役職、悩みごと、情報の探し方などを詳細に設定することで、「誰に向けてどんな情報を届けるか」が明確になります。
原因5:サイトの更新が止まっている
5つ目の原因は、WEBサイトの情報が古いまま放置されていることです。
更新されないサイトは”らしさ”以前の問題
「お知らせ」の最終更新日が2年前、ブログの最新記事が1年以上前、掲載している社員の写真はすでに退職した人――こうした「放置されている感」のあるサイトは、訪問者に「この会社は大丈夫だろうか」という不安を与えてしまいます。
“らしさ”は「現在進行形」であってこそ意味があります。過去に良いサイトを作ったとしても、その後更新されなければ、活き活きとした”らしさ”は失われてしまうのです。
改善方法
毎日更新する必要はありません。無理なく続けられるルールを決めましょう。
- 月に1回はお知らせやブログを更新する(施工事例、お客さまの声、スタッフ紹介など)
- 季節ごとにトップページのビジュアルやメッセージを見直す
- 新しいサービスやスタッフの情報を速やかに反映する
- 古い情報は定期的にチェックし、修正または削除する
- 更新しやすいCMS(更新管理システム)を導入し、社内で簡単に更新できる体制を作る
ホームページの更新・運用を続けるためには、制作会社との継続的なパートナーシップが大切です。制作して終わりではなく、公開後もサポートしてくれるパートナーの見つけ方については、別の記事で詳しく解説しています。
WEBサイトは「完成品」ではなく「育てていくもの」。定期的な更新は、”らしさ”を鮮度高く保ち続けるための大切な習慣です。
“らしさ”が伝わるサイトにするためのチェックリスト
ここまで5つの原因と改善方法をお伝えしてきましたが、最後に自社サイトを客観的に振り返るためのチェックリストをご用意しました。1つでも「NO」がある項目は、改善の余地があるかもしれません。
デザイン・ビジュアルのチェック
- トップページのメインビジュアルにオリジナル写真を使っているか
- 配色やフォントが自社の雰囲気に合っているか
- 競合他社のサイトと並べたとき、見分けがつくか
- 写真素材は、自社のリアルな姿を反映しているか
コンテンツ・メッセージのチェック
- キャッチコピーは、自社だけが言える内容になっているか
- 代表メッセージに具体的なエピソードが含まれているか
- サービス説明が抽象的になっていないか
- 事例紹介が3件以上掲載されているか
- お客さまの声が掲載されているか
構成・導線のチェック
- お客さまが知りたい情報にすぐたどり着けるか
- 問い合わせまでの導線が明確か
- 料金の目安や参考情報が掲載されているか
- 問い合わせ後の流れが説明されているか
運用・更新のチェック
- お知らせの最終更新日が3か月以内か
- 古い情報が放置されていないか
- 定期的にサイトの内容を見直す仕組みがあるか
- 更新を相談できるパートナーがいるか
まとめ:”らしさ”が伝わらないのは、伝え方の問題
“らしさ”が伝わらない原因は、御社に”らしさ”がないからではありません。ほとんどの場合、”らしさ”はあるのに、WEBサイトでの伝え方が合っていないだけなのです。
5つの原因をあらためて整理すると、以下のとおりです。
- テンプレートに”はめ込んだ”デザインになっている
- 「何でもできます」が”何も伝えていない”状態になっている
- 抽象的な「きれいな言葉」が並んでいるだけ
- 企業目線とお客さま目線のずれがある
- サイトの情報が更新されていない
もし1つでも心当たりがあるなら、それはリニューアルのチャンスでもあります。今のサイトの課題を見つけることが、”らしさ”を伝えるサイトへの第一歩です。どこから手をつけたらいいかわからない場合は、まずはプロに相談してみることをおすすめします。御社の”らしさ”を一緒に見つめ直すところから、お手伝いいたします。