WEB制作会社に問い合わせをして、いよいよ初回の打ち合わせ。「何を話せばいいんだろう」「専門的なことを聞かれたらどうしよう」と、緊張される方も多いのではないでしょうか。実は、初回ヒアリングの質がその後の制作の方向性を大きく左右します。逆に言えば、ここでしっかりと情報を伝えられれば、完成したサイトが「思っていたのと違う」という事態を防ぐことができるのです。
この記事では、制作会社との初回打ち合わせで伝えるべき5つのことを、具体的な伝え方の例やNG例とともに解説します。「WEBの専門知識がなくても大丈夫」――そんな安心感を持っていただける内容を目指しました。
なぜ初回の打ち合わせが重要なのか
ホームページ制作は、家を建てることにたとえられることがよくあります。初回の打ち合わせは、いわば建築士との最初の相談。「どんな暮らしがしたいか」「家族構成は」「予算は」といった基本的な情報を共有しないまま設計を始めてしまったら、理想の家は建ちませんよね。
WEB制作も同じです。制作会社は「ホームページのプロ」ですが、御社のビジネスや想いについては、お客さまご自身が一番よく知っています。初回の打ち合わせは、その大切な情報を制作会社に伝える最初の機会。ここでの情報共有がしっかりできていれば、その後のデザインやコンテンツ制作がスムーズに進みます。
初回ヒアリングは「試験」ではありません。制作会社が御社を理解するための大切な対話の場です。専門知識がなくても、自分の言葉で伝えれば十分です。
伝えるべきこと①:ホームページを作る(リニューアルする)目的
最も大切なのが「なぜホームページを作りたいのか」という目的です。目的が明確であれば、制作会社は最適なサイト構成やデザインを提案しやすくなります。
目的の具体的な伝え方
「ホームページが欲しい」だけでは、制作会社も方向性を定めにくいものです。以下のように、もう一歩踏み込んで伝えてみましょう。
- 問い合わせを増やしたい場合:「現在月に2〜3件の問い合わせがあるが、月10件に増やしたい」
- 採用を強化したい場合:「ハローワーク以外からの応募を増やしたい。特に20〜30代の技術者が欲しい」
- ブランディング目的の場合:「取引先にURLを伝えたとき、信頼感を持ってもらえるサイトにしたい」
- EC(ネットショップ)を始めたい場合:「地元で販売している商品を全国に届けたい」
数字で語れる部分は数字を入れると、制作会社側も具体的な施策を考えやすくなります。「なんとなくかっこいいサイトが欲しい」よりも「月の問い合わせを5件増やしたい」のほうが、提案の精度は格段に上がります。
用語メモ:リニューアル
既存のホームページを、デザインや構成を一新して作り直すこと。「全面リニューアル」はゼロから作り直すこと、「部分リニューアル」は特定のページや機能だけを改善することを指します。
目的が複数ある場合はどうする?
「問い合わせも増やしたいし、採用も強化したい」など、目的が複数あることは珍しくありません。その場合は、すべて伝えた上で優先順位をつけてください。「どちらかと言えば、まずは採用を優先したい」と一言添えるだけで、制作会社はサイト設計の方向性を定めやすくなります。
ホームページの目的を明確にすることは、制作の方向性だけでなく、完成後の効果測定にも直結します。目的が曖昧なまま進めてしまうと、公開後に「成功なのか失敗なのかわからない」という状態になりかねません。サイトの成果を正しく測るためにも、ここはしっかり整理しておきましょう。
伝えるべきこと②:ターゲット(誰に見てほしいか)
ホームページを「誰に」見てほしいのかという情報は、デザインやコンテンツの方向性を決定づけます。ターゲットが変われば、使う言葉もデザインのトーンも、写真の選び方もまったく異なるからです。
ターゲットの伝え方のコツ
マーケティングの専門用語で「ペルソナ」と言いますが、初回の打ち合わせではそこまで厳密に考える必要はありません。以下のような情報を伝えるだけで十分です。
- 年齢層:「30〜50代の経営者」「20代の求職者」など
- 地域:「群馬県内のお客さまがメイン」「全国から注文が来る」など
- 立場:「最終的に発注を決める決裁者」「情報収集をしている担当者」など
- 悩みや課題:「○○で困っている人」「△△を探している人」など
たとえば、建設会社のホームページであれば「群馬県内でマイホームを建てたい30〜40代のファミリー層」というように伝えると、制作会社はターゲットに響くデザインやコンテンツを提案できます。
用語メモ:ペルソナ
自社の商品やサービスを利用する「理想的なお客さま像」のこと。年齢・性別・職業・ライフスタイルなどを具体的に設定することで、マーケティングやデザインの方向性がブレにくくなります。
「見てほしくない人」を伝えるのも有効
意外と効果的なのが、ターゲットではない層を伝えることです。「価格だけで比較してくるお客さまは避けたい」「個人のお客さまではなく法人との取引を増やしたい」など、こうした情報はサイトのトーンや掲載する情報の取捨選択に大きく影響します。
伝えるべきこと③:現状の課題と不満
既存のホームページがある場合は、現在のサイトに対する課題や不満を具体的に伝えましょう。「なんとなくダサい」でも構いません。そこから制作会社がヒアリングを深掘りしてくれます。
課題を伝える際の具体例
漠然とした不満を、少し具体的にしてみましょう。
- デザインの課題:「デザインが古く見えて、競合他社に見劣りしている気がする」
- 機能の課題:「お知らせの更新を毎回制作会社に依頼しなければならず、手間がかかる」
- 集客の課題:「検索しても自社サイトが上位に出てこない」
- スマートフォン対応の課題:「スマホで見ると文字が小さくて読みにくいと言われた」
- コンテンツの課題:「サービス内容が変わったのに、サイトの情報が古いまま」
もし初めてのホームページ制作であれば、「現在はホームページがないことで、どんな場面で困っているか」を伝えてください。「名刺交換の際にURLがないのが恥ずかしい」「取引先からホームページを聞かれて困った」など、日常の困りごとを素直にお話しいただくのが一番です。
アクセス解析データがあれば持参しましょう
既存サイトにGoogleアナリティクスなどのアクセス解析ツールが入っている場合は、そのデータを共有できると理想的です。「月間どのくらいの人が見ているか」「どのページがよく見られているか」「どこからアクセスが来ているか」といったデータは、リニューアルの方向性を決める貴重な判断材料になります。
アクセス解析の設定がわからない場合は、「入っているかどうかもわからない」と正直に伝えてください。制作会社が確認してくれるはずです。WEBサイトの運用においてデータの活用は非常に大切ですので、リニューアルを機にアクセス解析の基盤を整えるのもおすすめです。
用語メモ:Googleアナリティクス
Googleが無料で提供しているアクセス解析ツール。サイトへの訪問者数、どのページがよく見られているか、ユーザーがどこから来たかなどを分析できます。
伝えるべきこと④:予算とスケジュールの目安
「予算を伝えると、その上限いっぱいまで見積もられるのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。しかし、予算の目安を伝えないと、制作会社はどの程度の提案をすべきか判断できず、結果的にお互いの時間を無駄にしてしまうことがあります。
予算の伝え方
予算の相場がわからないのは当然のことです。以下のような伝え方であれば、制作会社も柔軟に対応できます。
- 「正直なところ相場がわからないので、50万〜100万円くらいで考えているが、妥当かどうか教えてほしい」
- 「予算の上限は150万円。その中でできる最善の提案をしてほしい」
- 「まずは最低限の形でスタートして、売上が立ったら段階的に拡張したい」
正確な金額でなくても、幅を持たせた形で伝えるだけで十分です。誠実な制作会社であれば、予算内で最大限の効果を出す方法を一緒に考えてくれるでしょう。
スケジュールの伝え方
スケジュールについても、わかる範囲で伝えましょう。
- 「来年の4月に新サービスを始めるので、3月末までに公開したい」
- 「展示会が10月にあるので、それまでに名刺に載せられるURLが欲しい」
- 「特に期限はないが、できれば3か月以内に形にしたい」
動かせない締め切りがある場合は、必ず伝えてください。スケジュールによっては、制作の進め方やページ数の調整が必要になることもあります。
予算とスケジュールは、隠さずに共有するのが得策です。制作会社はその範囲内でベストな提案を組み立てます。情報が不足していると「とりあえず豪華な提案」になりがちで、結果的にお互いの時間がもったいないことになります。
伝えるべきこと⑤:好みのデザインや参考サイト
デザインの好みを言葉だけで伝えるのは、プロでも難しいことです。「シンプルでおしゃれな感じ」と言っても、人によってイメージはまったく異なります。そこで役立つのが、参考サイトを事前にピックアップしておくことです。
参考サイトの選び方と伝え方
打ち合わせの前に、3〜5つほどの参考サイトを集めておきましょう。同業種のサイトに限らず、「この色合いが好き」「このレイアウトが見やすい」など、気になったサイトで構いません。
参考サイトを伝える際のポイントは、「どこが」好きなのかを添えることです。
- 「このサイトの写真の使い方が好き。自社でもプロに撮影してもらいたい」
- 「このサイトの配色が落ち着いていて、自社のイメージに近い」
- 「このサイトのスマホでの見やすさを参考にしたい」
- 「このサイトのような動きのあるデザインに憧れるが、予算的に可能か知りたい」
反対に、「こういうデザインは嫌だ」という例も同じくらい重要です。「派手すぎるのは自社のイメージに合わない」「ポップすぎる雰囲気は避けたい」など、NGな方向性を伝えることで、デザインの的が絞りやすくなります。
ロゴやブランドガイドラインがあれば持参を
会社のロゴデータ、パンフレット、名刺、カタログなどがあれば、打ち合わせに持っていきましょう。特にロゴに使われている色は、サイト全体の配色設計に大きく影響します。こうした既存の制作物がサイトデザインの重要な手がかりになることは、企業のらしさを表現するデザインを考える上でも欠かせないポイントです。
用語メモ:ブランドガイドライン
企業のロゴ、カラー、フォント、トーンなどの使用ルールをまとめた指針書。大企業では整備されていることが多いですが、中小企業では「暗黙のルール」として存在していることも。なくても問題ありませんので、ご安心ください。
やってはいけない!打ち合わせのNG行動
ここまでは「伝えるべきこと」を解説しましたが、打ち合わせで避けたほうがいいNG行動もあります。よくあるケースをご紹介しますので、参考にしてください。
NG①:すべてを「お任せ」にする
「プロにお任せします」は一見お互いにとって楽に思えますが、制作会社が最も困る一言でもあります。なぜなら、いくらWEB制作のプロでも、御社のビジネスの専門家ではないからです。お任せにした結果、完成間際に「イメージと違う」となると、大幅な修正が発生し、追加費用やスケジュールの遅延につながることもあります。
もちろん、技術的な判断やデザインの細部は制作会社にお任せして問題ありません。大切なのは「ビジネスに関わる判断」は御社が行い、「WEBの専門的な判断」は制作会社に任せるという役割分担を意識することです。
NG②:社内の意見をまとめずに臨む
社長は「かっこいいサイトを」、営業部長は「商品カタログを充実させたい」、総務担当は「採用情報を目立たせたい」――社内で意見がバラバラのまま打ち合わせに臨むと、制作会社はどの要望を優先すべきかわからず、混乱してしまいます。
できれば事前に社内で意見をすり合わせ、最終的な決裁者を決めておきましょう。「意見が分かれています」と正直に伝えていただくのも一つの方法です。制作会社が整理をお手伝いできることもあります。
NG③:他社の見積もり金額を引き合いに出して値引きを迫る
相見積もりを取ること自体は問題ありませんが、「A社はこの金額だったので、もっと安くできませんか」と値引き交渉の道具にするのは、良い関係構築の妨げになります。制作会社ごとに提供するサービスの範囲や品質は異なりますので、金額だけの比較はあまり意味がありません。
もし複数社の見積もり内容に違いがあって判断に迷う場合は、見積もりの内訳を見比べるポイントについても調べてみると良いでしょう。
打ち合わせ前の準備チェックリスト
最後に、初回打ち合わせ前に確認しておきたい項目をチェックリスト形式でまとめました。すべてを完璧に準備する必要はありませんが、できる範囲で整理しておくと、打ち合わせがぐっとスムーズになります。
- ホームページの目的を整理した(できれば優先順位もつけた)
- ターゲットを考えた(年齢層、地域、立場など)
- 現状の課題を書き出した(既存サイトの不満、または「サイトがない」ことの困りごと)
- 予算の目安を社内で確認した(幅を持たせた形でOK)
- 希望の公開時期を確認した(動かせない期限があれば明確に)
- 参考サイトを3〜5つピックアップした(URLをメモしておく)
- 既存の制作物を準備した(ロゴデータ、パンフレット、名刺など)
- アクセス解析データの有無を確認した(わからなければ「不明」でOK)
- 社内の意見をある程度まとめた(最終決裁者を決めた)
- 聞きたいことをリストにした(疑問や不安は何でも質問して大丈夫)
準備は「完璧」でなくて大丈夫です。「わからない」「まだ決まっていない」も立派な情報です。正直に伝えていただければ、制作会社が一緒に整理をお手伝いします。
効率的な打ち合わせのためのちょっとしたコツ
最後に、打ち合わせをより有意義にするためのコツをいくつかご紹介します。
事前に資料を送っておく
会社案内やサービス資料があれば、打ち合わせの前に制作会社に送っておくと、当日の対話が深まります。制作会社側も事前に御社のビジネスを予習できるため、初回から的を射た提案が出やすくなります。
打ち合わせには決裁者が参加する
WEB制作は意思決定の連続です。デザインの方向性、掲載する情報の取捨選択、機能の優先順位など、打ち合わせの場で判断を求められることが多々あります。決裁権のある方が直接参加することで、スピーディーに物事が進みます。
「競合他社のサイト」も伝える
「うちの競合はこの会社です」という情報は、制作会社にとって非常に参考になります。競合サイトとの差別化ポイントを見つけたり、業界のWEB活用の傾向を把握したりするための手がかりになるからです。
打ち合わせ後の議事録を確認する
打ち合わせ内容は、制作会社が議事録やヒアリングシートにまとめてくれることが一般的です。後日共有された際に、認識のズレがないかしっかり確認しましょう。この確認作業を怠ると、後工程でのトラブルにつながりかねません。
まとめ:「伝える努力」がホームページの品質を上げる
制作会社との打ち合わせで大切なのは、WEBの専門知識ではありません。「自社のビジネスをどう伝えるか」という姿勢です。今回ご紹介した5つの項目を事前に整理しておけば、初めての打ち合わせでも安心して臨めるはずです。
もし「自社の強みがよくわからない」「ターゲットの整理が難しい」と感じたら、それも含めて打ち合わせの場で相談してみてください。良い制作会社は、一方的に話を聞くだけでなく、御社自身も気づいていなかった強みや課題を引き出してくれる存在です。
ホームページは御社のビジネスを支える大切な資産です。その第一歩となる初回ヒアリングに、少しだけ準備の時間を投資してみてはいかがでしょうか。きっと、納得のいく制作プロジェクトにつながるはずです。