情報設計 中級

モバイルファーストの情報設計|スマートフォン時代のサイト構造

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こんな人にオススメの記事

  • 自社のホームページがスマートフォンで見づらいと言われたことがある
  • パソコン向けのデザインをそのまま縮小してスマホ表示にしている
  • ホームページのアクセスの半分以上がスマートフォンなのに対策していない
  • スマートフォンからのお問い合わせが少ないと感じている
  • モバイルファーストという言葉は聞くが具体的に何をすればよいかわからない

この記事の目次

御社のホームページは、スマートフォンで快適に閲覧できますか? 現在、多くの業種でホームページへのアクセスの50%〜80%がスマートフォンからです。にもかかわらず、「パソコンで見ることを前提に作られたホームページを、そのままスマートフォンに縮小表示している」というケースは珍しくありません。これでは、せっかくホームページに訪れたお客さまが、使いにくさを感じて離れてしまいます。こうした課題を解決する考え方が「モバイルファースト」です。この記事では、モバイルファーストの基本的な考え方から、スマートフォン時代に適した情報設計の具体的なポイントまで、わかりやすくお伝えします。

モバイルファーストとは何か

「モバイルファースト」という言葉を耳にされたことがある方も多いかもしれません。ここでは、その意味と背景を整理しましょう。

モバイルファーストの意味

モバイルファーストとは、ホームページを設計する際に、パソコン向けではなくスマートフォン(モバイル)向けのデザインや構造を先に考えるアプローチのことです。

従来は、パソコンの大きな画面を基準にデザインを作り、その後でスマートフォン向けに「縮小・調整」する方法が一般的でした。しかし、この方法ではどうしてもスマートフォンでの使い勝手が犠牲になりがちです。パソコンの広い画面に収まっていた情報を、スマートフォンの小さな画面に無理やり押し込むことになるためです。

モバイルファーストでは、この順序を逆にします。まずスマートフォンの小さな画面で「何を見せるか」「どう操作してもらうか」を考え、その設計をパソコン向けに拡張していくのです。

たとえるなら、従来の方法は「大きなクローゼットの中身を小さなスーツケースに詰め込む」ようなもの。モバイルファーストは「スーツケースに入る本当に必要なものを選んでから、クローゼットに戻してゆとりを持って配置する」という考え方です。

用語メモ

モバイルファーストは、2009年にLuke Wroblewski(ルーク・ウロブレフスキー)というデザイナーが提唱した考え方です。また、関連する用語として「レスポンシブデザイン」があります。これは、パソコン・タブレット・スマートフォンなど、さまざまな画面サイズに合わせてレイアウトが自動的に切り替わる設計手法です。

なぜ今、モバイルファーストが重要なのか

モバイルファーストが重要である理由は、大きく3つあります。

理由1:スマートフォンからのアクセスが主流
総務省の調査によると、日本におけるスマートフォンの世帯保有率は約90%に達しています。インターネットの利用端末も、スマートフォンがパソコンを上回っています。業種にもよりますが、多くの中小企業のホームページでは、アクセスの50%〜80%がスマートフォンからという状況です。

理由2:Googleがモバイルファーストインデックスを採用
Googleは検索順位を決める際に、パソコン向けのページではなくスマートフォン向けのページを基準にしています。これを「モバイルファーストインデックス」と呼びます。つまり、スマートフォンでの表示が不十分なサイトは、検索順位で不利になる可能性があるのです。

理由3:スマートフォンでの体験が購買行動に直結する
「近くの○○」と検索して、すぐに電話をかける。営業先で相手の会社のホームページをスマートフォンで確認する。こうした「その場で・すぐに」という行動パターンが当たり前になった今、スマートフォンでの閲覧体験は、お客さまの判断に直接影響を与えます。

モバイルファーストは「スマートフォン対応」のさらに一歩先。「スマートフォンを基準に設計する」ことで、すべてのデバイスで最適な体験を実現する考え方です。

モバイルファーストの情報設計:基本の考え方

モバイルファーストでホームページを設計する際に、もっとも大切なのは「情報の優先順位を明確にする」ことです。

情報の優先順位をつける

スマートフォンの画面は、パソコンに比べて非常に小さいです。パソコンでは横に並べて表示できた情報も、スマートフォンでは縦に積み重ねて表示することになります。そのため、「どの情報をどの順番で見せるか」という優先順位の判断が極めて重要になります。

この優先順位を決める際に考えるべきは、「御社のホームページを訪れるお客さまが、もっとも知りたいことは何か」という点です。

たとえば、飲食店のホームページであれば、お客さまが最初に知りたいのは「メニュー」「営業時間」「場所(アクセス)」でしょう。会社のコーポレートサイトであれば、「どんなサービスを提供しているか」「実績」「問い合わせ方法」が優先されるかもしれません。

まずはお客さまの視点で、「スマートフォンで御社のサイトを見たとき、最初に目に入ってほしい情報は何か」を考えてみてください。

「引き算」の設計思考

モバイルファーストの設計では、「何を載せるか」よりも「何を載せないか」を考えることが重要です。これを「引き算の設計」と呼びます。

パソコン向けに作られたホームページには、サイドバーにバナーが並んでいたり、フッターに大量のリンクがあったり、あちこちに装飾的な画像が使われていたりすることがあります。これらをそのままスマートフォンに表示すると、ページが長くなりすぎて、本当に見てほしい情報にたどり着けなくなります。

スマートフォンの画面では、「本当に必要な情報」だけを厳選して配置する。不要な要素は思い切って削る。この「引き算」の思考が、使いやすいスマートフォンサイトを作るための基本です。

ただし、「引き算」は情報を減らすことではありません。重要な情報はすべて掲載したうえで、表示の仕方(優先順位、階層構造、ナビゲーション)を工夫することで、スマートフォンでもストレスなく情報にアクセスできるようにするのです。

用語メモ

サイドバーとは、ホームページの左側や右側に配置される縦長のエリアのことで、メニューやバナー、関連記事へのリンクなどが表示されます。フッターとは、ページの最下部に配置されるエリアで、会社情報やサイトマップなどが掲載されることが多いです。

ナビゲーションの最適化

スマートフォンでの使い勝手を大きく左右するのが「ナビゲーション」、つまりホームページ内の移動手段です。

ハンバーガーメニューの活用と注意点

スマートフォン向けサイトで広く使われているのが、画面上部に表示される三本線のアイコン(ハンバーガーメニュー)です。このアイコンをタップすると、ナビゲーションメニューが展開されます。

ハンバーガーメニューは画面スペースを節約できるメリットがありますが、「メニューが隠れているため、お客さまが目的のページに気づかない」というデメリットもあります。

このデメリットを補うためにおすすめなのが、特に重要なページへのリンク(たとえば「お問い合わせ」「電話する」など)は、ハンバーガーメニューの中に隠さず、画面上に常に表示しておくという方法です。

フッターナビゲーションの活用

最近のスマートフォン向けサイトでは、画面下部に固定のナビゲーションバーを設置するデザインが増えています。スマートフォンを片手で操作する場合、画面下部のほうが指が届きやすいため、操作性が向上します。

フッターナビゲーションに配置する項目は、3〜5個程度に絞るのが理想的です。たとえば、「ホーム」「サービス」「実績」「電話」「お問い合わせ」の5項目を配置すれば、どのページからでもワンタップで重要なアクションに移れます。

パンくずリストと階層構造

パンくずリストとは、「トップ > サービス > WEB制作」のように、現在閲覧しているページの位置を示すナビゲーションのことです。スマートフォンでは画面が小さいため、自分が「サイトのどこにいるのか」を見失いやすくなります。パンくずリストを設置することで、ユーザーが現在地を把握でき、上位のページにスムーズに戻れるようになります。

また、ページの階層構造はできるだけ浅く保ちましょう。トップページから目的の情報まで、3タップ以内でたどり着けるのが理想です。何度もタップしないとたどり着けない深い階層構造は、スマートフォンでは特にストレスが大きくなります。

ナビゲーション設計の基本は「お客さまが探している情報に、できるだけ少ないタップ数でたどり着けること」です。

CTA(行動喚起)の最適化

ホームページの最終的な目的は、お客さまに「お問い合わせ」「電話」「資料請求」などの行動を起こしてもらうことです。この行動を促す仕掛けを「CTA」と呼びます。スマートフォンでは、CTAの設計がとくに重要です。

CTAとは何か

CTA(Call To Action)とは、ホームページ上でお客さまに特定の行動を促すボタンやリンクのことです。「お問い合わせはこちら」「無料相談を予約する」「電話で相談する」「資料をダウンロードする」などのボタンがCTAにあたります。

スマートフォンでは、画面が小さいため、CTAが目に留まらなかったり、ボタンが小さくてタップしにくかったりすると、お客さまがアクションを起こさないまま離脱してしまいます。

用語メモ

CTA(Call To Action=コール・トゥ・アクション)は「行動喚起」と訳され、WEBサイト上でユーザーに特定の行動を促すための要素(ボタン、バナー、リンクなど)を指します。離脱とは、ユーザーがホームページから離れてしまうことです。

スマートフォンでのCTA最適化のポイント

スマートフォンでのCTAを効果的にするためのポイントをご紹介します。

ボタンは大きく、タップしやすく:Appleのガイドラインでは、タップ可能なエリアは最低44×44ピクセルが推奨されています。指で確実にタップできるサイズを確保しましょう。

電話番号はタップで発信できるように:スマートフォンの最大の特徴は「電話機能が使える」ことです。電話番号をタップするだけで発信できるようにしておくと、お客さまのアクション率が大幅に向上します。

CTAは画面内に常に見える位置に:スクロールしても常に画面に表示される「固定ボタン」(追従ボタン)を設置すると、お客さまがどのタイミングでもアクションを起こせます。ページの最下部まで読んでからCTAを探す、という手間をなくせるのです。

CTAの文言は具体的に:「詳しくはこちら」よりも「無料で相談する」「30秒で見積もり依頼」のように、ボタンを押した後に何が起こるかが明確な文言の方が、クリック率が高まります。

モバイルファーストで見直すべきデザイン要素

最後に、モバイルファーストの視点で見直すべき具体的なデザイン要素をまとめます。

文字サイズと行間

スマートフォンでの閲覧を考えると、文字サイズと行間の設定は非常に重要です。一般的に、本文のフォントサイズは16ピクセル以上が推奨されています。これより小さいと、お客さまはピンチイン(指で拡大)しなければ読めなくなり、快適さが損なわれます。

行間(行と行の間隔)は、文字サイズの1.5〜1.8倍程度を目安にすると、読みやすいテキストになります。行間が詰まりすぎていると、文章がぎゅっと押し込められた印象になり、読む気が失せてしまいます。

画像と動画の最適化

大きな画像や動画は、スマートフォンでの表示速度に大きく影響します。表示が遅いページは、お客さまが待ちきれずに離脱する原因になります。一般的に、ページの読み込みに3秒以上かかると、半数以上のユーザーが離脱するというデータもあります。

画像はWEBP形式への変換や適切な圧縮を行い、ファイルサイズを最小限に抑えましょう。また、画面幅に合わせて適切なサイズの画像を表示する「レスポンシブ画像」の技術を活用することも重要です。

フォーム(入力欄)の最適化

お問い合わせフォームは、スマートフォンでもっともストレスを感じやすい部分の一つです。以下の点に注意して最適化しましょう。

入力項目は最小限に:必要な情報だけを入力してもらうようにしましょう。項目が多すぎると、スマートフォンでは入力が面倒になり、途中で離脱されてしまいます。

入力欄は十分な大きさに:小さな入力欄はタップしにくく、文字の入力も困難です。十分な高さとタップ領域を確保しましょう。

適切なキーボードの表示:電話番号の入力欄では数字キーボードが、メールアドレスの入力欄では「@」付きのキーボードが自動的に表示されるように設定します。こうした小さな配慮が、入力のストレスを大きく軽減します。

スマートフォンでの使い勝手は「小さなことの積み重ね」で決まります。文字サイズ、ボタンの大きさ、表示速度、フォームの使いやすさなど、一つひとつの要素を丁寧に最適化することが大切です。

まとめ:スマートフォン時代のホームページに必要なこと

この記事の内容を振り返りましょう。

  • モバイルファーストはスマートフォンを基準にホームページを設計する考え方
  • 現在、多くのホームページでアクセスの50%〜80%がスマートフォンから
  • Googleはモバイルファーストインデックスを採用しており、スマホ対応はSEOにも影響
  • 情報の優先順位を明確にし、「引き算」の設計思考で本当に必要な情報を厳選する
  • ナビゲーションは少ないタップ数で目的の情報にたどり着ける設計を心がける
  • CTAは大きく・見やすく・常に画面内に表示して、行動を促す
  • 文字サイズ、画像の表示速度、フォームの使いやすさなど細部まで最適化する

御社のホームページが、スマートフォンで快適に使えるかどうか。まずは一度、ご自身のスマートフォンで自社のサイトを隅々まで操作してみてください。「ここが使いにくいな」「この文字が読みにくいな」と感じるところがあれば、それはお客さまも同じように感じているはずです。

「自社のホームページがモバイルファーストに対応できているか診断してほしい」「スマートフォンでの使い勝手を改善したい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。御社のホームページを実際にスマートフォンで検証し、具体的な改善策をご提案いたします。

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